第一部:ゲート 開けり
皇女の憂鬱&黒王軍の進撃 その1
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頭の回転が早く的確な助言でピニャを補佐する。騎士団の中では数少ない男性であり、一兵卒出ながら騎士補という地位にあるが、出自の関係でここまでが昇進の限界らしい(騎士補に任ぜられたのも34歳とかなり遅い)。今から7年ほど前に「騎士団設立」を決意したピニャに指導教官として引き抜かれたが、ピニャの(個人としては好ましいが、皇族としては問題な)無茶ぶりから来る心労に今もなお悩み続けている。
彼ら3人を交えてじゃじゃ馬な姫様は、
様々な伝手を利用して自分や部下たちが仕入れてきた情報を纏めていたのだが、
どうみてもどこぞの錬金術師のように「あらやだ、この国詰んでいる」という状況に、思わず頭を抱えて唸るしかなかった。ちなみになぜ情報を集めようと彼女が思ったのかというと、何か祖国がピンチらしいと宮殿に使える女官や市民たちの話などを聞いたので、自分なりに父上の手助けは出来ないかと思ったからだ。
現状、「帝国」は崩壊するまで秒読みに入ったと言えるほど危機的状況だ。既に国土の半分以上が敵対勢力に支配されているか、もしくは彼らとの戦闘地域となっており、そこから国に納められていた税収や収穫物が途絶え、前述の描写のように国内の食糧事情や財政事情などが悪化する一因になっていた。税収や前年度より50%低下し、
自給率は残された領土で必死に収穫に励んでいるのでまだ何とか毎日食べていけるだけの量を賄えているが、このまま領地を失い続けると飢餓が発生すると予測されている。
そして各地で治安が悪化して山賊や盗賊が街道や山中で商人や旅人を襲い、チャンスやタイミングによっては村落や町を襲う事もある。おまけに襲った人間を殺すこともあれば、
誘拐して身代金を要求する事もある。
こうして国内の治安はどんどん日を追うごとに悪化していた。
このように「帝国」を悩ませているこれらの諸問題は、敵対的な2つの勢力が原因であった。このファルマートをほぼ領有する超大国であるこの国に対し、今まで反旗を翻す勢力は大小様々に存在したが、全て「帝国」によって壊滅状態に追い込まれて消滅した。
ゆえにこの国とこの大陸は、つかの間の平和と停滞した時代を迎えたのだが、
それを何と異世界からやって来た連中によって結成された2つの勢力によって、
そのパックス・オブ・エンパイアは崩壊して再び戦乱の時代へと突入したのだ。
「帝国」に敵対する勢力の一つは『黒王軍』だ。
この勢力はファルマート大陸に突如出現した、この世界の技術ではない技術で生み出された「門」(ゲート)を通じて現地の町や村を襲撃し、住民を奴隷にするか皆殺しにした後にかの有名な宣戦布告「黒の宣言」を発布して、迎撃に向かった帝国軍を壊滅すると直ぐに各地に異様な怪物の軍勢を派遣&占領し、無理やり支配下に治め
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