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ゲート 代行者かく戦えり
第一部:ゲート 開けり
皇女の憂鬱&黒王軍の進撃 その1
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つらはてんでなっちゃいないな。こいつらと比べれば、まだ鍛冶屋の弟子の方が強く見える」


今、巡回中の兵士たちが隊列を組んで通りを歩いていく。
それを横目に住民たちはこそこそと話していたがまさにその通りだ。1ヶ月ほど前から以前からここに配属されていた兵士たちは前線へと送られ、代わりに新兵たちがその職務を代行するようになった。
既に帝国軍の兵士はとある理由で熟練した兵士たちが底を尽きかけており、大量に新兵が導入されたのだが彼らはまだ訓練が行き届いていないので、前線に送るわけにはいかないのでこうして後方の実戦経験のある兵士たちと交代する形で配備が進んでいた。
 

しかし、それは各地の都市で不安を招く切っ掛けの一つに繋がっていた。この首都を含め多くの城壁都市は戦略的・経済的・政治的価値から熟練の兵士たちで構成された部隊が配属されているケースが多く、彼らと市民は顔馴染みの関係でそれなりに互いに親しみを持っていた。
市民は巡回する兵士たちを頼もしく感じ、兵士たちは自分たちが守るべき価値を市民に見出すなど、
信用を抱いていた。


そんな彼らが戦況の悪化により、続々と前線へと配属転換となり姿を消し、代わりに頼りなさそうで見慣れない顔をした新兵たちが配属に就くと、彼らと比べて劣った仕事内容や顔馴染みでない等が原因で不安になり、
今まで築かれてきたその信用関係も次第に崩壊していった。
そしてそれがやがて帝国上層部に対する不信感や不満に繋がるのも、ある意味当然の話だろう。


この状況を何とか打開せねばと考える者は「帝国」に多くいたが、その中に一人の皇族の女性が含まれていた。




(宮殿「フォロ・ロマーノ」に多く存在するパラッツォにて)




「…という状況です姫様。既にこの「帝国」は国土の半分は完全に失いました。
このままですと約1・2年後には8割が占領され、この国は落日を迎えるのは間違いないでしょう」

「そんな!?グレイ殿、それは間違いないのですか?」

「ハミルトン、グレイが言うならばその通りなのだろう。…あまり信じたくはないがな、実際に市街地に繰り出して商店の品揃えや巡回の兵士を観察していれば実感できる。このままだと、この国は滅亡するのがな」


宮殿「フォロ・ロマーノ」は、東西約300m、南北約100mに渡って存在する宮殿を指す名前で、帝国領内ではたいていの都市に政治・宗教の中心としてフォルム(英語のフォーラムの語源)と呼ばれる広場が置かれていたが、このフォロ・ロマーノは首都に開設された最初のフォルムであり、最も重要な存在であった。
それがやがてあれよこれよと壁や天井が設けられ、次第に大広間や元老院議事堂を備えた宮殿へと変貌し、フォロ・ロマーノは帝国の中心的存在として機能し続けている
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