二色の原石
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バトルフロンティアのグランドオープン前日。件のバトルフロンティアでは、一人の男性が立派な椅子に肩肘をついて座っていた。紅い長髪に、翡翠色の気の強い瞳。年齢は30を過ぎているが、その体からあふれるエネルギッシュさは20代前半のそれと比べても遜色ない。
「……長かった。いよいよ俺の計画が発動する」
その男性は椅子を揺らした後、ぐるりと椅子を回転させて、自分の妻、そして集めた部下を見る。その場に集められた6人を見渡して、赤い長髪の男性は強い言葉で命じた。
「いいか、俺がお前達に求めるのは――perfectだ!ここに来る奴らに、そして俺自身に――perfectな日々を、気分を与えろ!」
パーフェクトというと完璧なという意味合いが強いが。ここでは充実した、という意味も含んで使っている。このフロンティアのキャッチコピーは『perfectな日々を貴方に』である。
「さあ、持ち場につけ!最終調整を怠るんじゃねえぞ!」
男性がそういうと、妻を除いた5人がそれぞれの場所に戻っていく。男性の妻は彼の後ろに行くと、その頭にもたれかかるようにして囁いた。
「ねえエメ君……あの子も参加させてよかったの?いくら実力があるといっても、まだ10歳じゃ……」
「関係ねえ。俺の息子たるもの。これくらいのことは突破してもらわなきゃ困る。後エメ君言うな」
「もう、いくつになっても傲慢なんだから……とはいえ、私も楽しみなんですけどね。フロンティアブレーンとして、あの子と本気で戦えるのが」
「へっ、結局お前もそうなんじゃねえか」
「ええ。それでは私も行ってまいります、あ・な・た」
男性の妻は首筋にキスをして去っていく。残された男性は、パソコンの画面を見てこう呟いた。
「……さて、目下楽しみなのは俺の息子と……あいつの、娘」
そこに映っているのは他ならぬジェムの姿だった。そこには彼女のフルネームが載っている。
「ジェム・クオール、か……」
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