二色の原石
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、いつから始まるの?」
「3日後だな。明日にでも出れば間に合うだろう。そこまでの道は……ジャックさんに案内してもらいなさい」
「ま、ホウエンの地理なら僕は知り尽くしてるからね。安心して任せてよ」
「お願いします。じゃあ、行ってくれるな?」
「任せて!さすがお父様。15歳になる前にこんな経験をさせてくれるなんて……偏屈のお母さまが惚れただけのことはあるわ!」
「やれやれ、誰が偏屈だい。ご飯抜くよ?」
「やめて!」
母親が呆れながら冗談めかして言う。ジェムも笑ってそう言った。
「それじゃあポケモンバトルで疲れただろうし、今日は家でもう休もう」
父親がそう提案するが、ジェムはむしろ元気さを増したようだった。
「こうしちゃいられないわ!私、ちょっと下まで走ってくる!お母様、夕飯は麻婆豆腐でよろしくね!」
「はいはい。お腹をすかしておいで」
言うなりジェムはおくりび山の麓の方へ走り出す。残された父親と母親はそれを見守りつつ、母親が父親に肩を寄せる。差している日傘が、相合傘のようだ。
「さすがあなたの娘だね。元気がいいったらありゃしないよ」
「でも、母さんの娘だ。俺と違って、ちゃんと一人でも考えて行動してる。……あの子なら安心だ」
ジェムの姿はすぐに見えなくなった。ジャックと呼ばれている男の子は、二人を見てため息をつく。
「あれから20年たったけど、君たちは相変わらずの仲だねえ。嫉妬しちゃうよ」
「お蔭さまでね」
「ジャックさん、今まで娘に付き合ってくれてありがとうございました」
父親がジャックに深々と礼をする。礼儀正しくなっちゃってまー、と呟いてから。
「……あの子も旅立ちの時、か。君たちから生まれた宝石がどんな活躍を見せるのか、この目で見届けさせてもらうよ」
そう意味深に語る。そして夜。お腹を空かして帰ってきたジェムと父と母が家族の団欒を過ごして、翌朝――
「それじゃあ行ってきますお父様、お母様!」
「ああ、気を付けていくんだぞ」
「お父さんの顔に恥じない戦いをしてくるんだよ?」
「うん!それじゃあいこっ、ジャックさん」
「はいはい、僕の準備は出来てるよ」
「それじゃあ出てきて――ラティ!」
「きゅううん!」
ジェムは自分の相棒――ラティアスを呼び出す。ジャックもラティオスを呼び出し、その背に乗った。
「私、もっともっと強くなって――お父様みたいな皆に尊敬されるトレーナーになるんだから!楽しみに待っててね!」
そう父と母と、何より自分自身に言い聞かせながら、少女は旅立つ。行く先はポケモンバトルの最前線。その地を踏みしめ、駆け抜けるために――
そして
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