第三十六話 お墓地その十二
[8]前話 [2]次話
「絶対にああはならないって誓ってます」
「言葉が現在進行形ね」
「だって暴力を振るいましたら」
それこそというのです。
「振るわれた相手が痛いじゃないですか」
「ええ、誰でもね」
「身体だけでなく心も」
「だからなのね」
「あんな人間にはならないって」
「誓ってるのね」
「そうです、あんなことをしたら」
それこそというのです。
「人間として終わりと思ってます」
「その通りね」
こんなこともお話しつつ今度は歴代の大教会長さんのお墓にお参りしました、ちなみに大教会長さんのお家は西本家といいます。
その参拝の後で。阿波野君は帰る時に私に言ってきました。
「この後はラーメン食べますか?」
「もうお腹一杯よ」
カレーを食べたからです、お昼の。
「食べられないわよ」
「あっ、そうですか」
「ええ、そもそも阿波野君私の倍は食べてるじゃない」
普通に大盛り二杯食べていました。
「それでお腹一杯にならないの?」
「それでもラーメン一杯位は」
「入るの」
「それ位は」
「よく食べるわね」
成長期の男の子だからでしょうか、細いけれど背が高いのでその分必要なのかしらとも思ったりしました。
「まだラーメン一杯って」
「おうどんでも一杯」
「たこ焼き位じゃ駄目?」
「たこ焼きですか」
「ええ、それ位ならね」
こう阿波野君に言いました。
「いけるかしら、クレープとか」
「クレープですか」
「そうしたお菓子ならね」
別腹といいましょうか、この辺りは。
「いけるかも」
「クレープですか」
「そういうのだったらね、ただ」
「ただ?」
「お金は節約しないとね」
私はこのことも頭に入れていました。
「私もお金持ちじゃないし」
「じゃあ買い食いも」
「食べられるものは食べたし」
カレーライスです、晩御飯もあります。
「だからね」
「食べないんですか」
「実は寮に教会の信者さんからお饅頭の差し入れがあって」
いつも届けてくれます、本当に有り難いです。
「それもあるから」
「だからですか」
「私はいいわ」
この結論に至りました。
「阿波野君が行きたいなら行ったら?」
「僕一人だと寂しいですね」
何か聞いていておかしいわね、ということをここでも言ってきました。
「先輩と一緒だからこそいいのに」
「何で私と一緒だからいいの?」
「あっ、こっちの都合です」
「こっちって」
「まあ先輩がそう言われるなら」
勝手に阿波野君だけで自己完結して言ってきました。
「仕方ないですね」
「仕方ないって?」
「寮までお送りさせてもらいます」
「寮まで?いいわよ」
私はこの言葉にちょっと驚きました、それですぐに言葉を返しました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ