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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜風雪の忍と光の戦士〜
第六話 疾走 ―スピードレーシング―
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「いっ、つつ……やれやれ、結構離されちまったな……」

 数十秒間のスタンからようやく抜けた疾風は、一旦滞空して体の調子を確かめながらゴールのある方向を見た。まだゴール直前、というわけでもないが、それでもかなりの距離を離されてしまった。さすがにこの距離で狙撃して砲撃を当てる自身は疾風にもなく、よっぽどのスピード型でもない限り通常の飛行のみでは追いつけないだろう。

【……使われますか?】

「……んー……」

 何を、という言葉はなかったが疾風はその意味を正確に認識していた。リラの言うとおりこの状況から逆転できる案も、確かにないことはない。疾風は少し考え……

「……だな! せっかくのイベントだし、出し惜しみはやめて派手にフィナーレと行こうか!」

【はい!】

 切り札を一つ使うことになるがまぁ盛り上がるだろうしいいだろう、と疾風はリラの言葉にニヤリと笑って頷き、一枚のカードをロードする。……次の瞬間疾風のバリアジャケット、“セレスタル”の赤いラインが真紅に光り始めたかと思うと、その魔力光は鮮やかかつ激しいものになった。激しさのあまりもはや球体のような形状になった魔力を纏いながら、疾風は誰もが目で追えないほどのスピードで海を蹴立てて一気に加速した。







『おぉーっなんだなんだぁ!? っていうかはやっ!? 赤っ!? なんでしょうかあれは!?』

「……なんっじゃありゃ……」

 ゴール地点に先に向かいながらモニターで様子を見ていた対戦相手の源蔵どころか、実況の花梨すら混乱しているような状況の中、唯一疾風のそのスキルの正体を知っている紗那は少し諦めたように小さく呟いた。

「……疾風、アレを使うなんて……これはもう負けちゃったかな」

「ん? 嬢ちゃんは知ってんのかい、疾坊のあのスキル?」

「……えぇ。現時点で、疾風が持っている最強のスキルだと思いま、す。初見でアレを破るのは……まず無理で、す」

 他のデュエリストのスキルのことを明かすわけにはいかないのでそれ以上のことは言わなかったが、紗那は実際にそのスキルを使われたことがあった。実を言うと借りて使ったこともあったのだが、あまりにもアレは強い。それを知っている紗那だったが、麻耶はどう対処するかとモニターに集中した。

 疾風が追いついて来ていることに気付いた麻耶は疾風を迎撃しようと誘導弾を放つが、疾風はその全てを目まぐるしい軌道で振り切った。

「……狙いきれない……!」

 矢を精密に撃ってもばら撒いても全てを回避され、麻耶は撃ち落とすことを諦めた。スキルを使った直後の疾風は、彼の放出する魔力の残像を曳きながら右に左にとジグザグに飛んでいた。そのため彼の残像が少し残ってしまい、狙いをつけることが非常に難
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