暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜風雪の忍と光の戦士〜
第六話 疾走 ―スピードレーシング―
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て急ブレーキをかけ、先に彼女を倒そうと麻耶の方に向かう。その間も魔力矢は飛んでくるが、それは回避したりガンブレードモードの刃で弾いたりしていく。

「その弓じゃ、懐に潜られたら近接戦闘はできねぇだろ!」

 そう叫びながら疾風はガンブレードモードのリラを構えて突進した。が、麻耶はあまり慌てた様子を見せず……

「……誰が……」

「……へ?」

 麻耶がボソリと呟いたと同時に、弓を両手で握る。疾風はそれを見てポカンとしていたが次の瞬間、なんと弓が真ん中で分割され、薄い黄緑色の光が……“刃”が出現した。そう、麻耶のデバイスであるライが、疾風の目の前で一瞬にして弓から二振りの短剣へと変形したのだ。それを逆手で持つ形になっている。

「……近接戦闘できないって?」

「嘘だろぉおお!?」

『なんと、これは熱い戦い! 逆手の二刀対順手の二刀の勝負だーっ!』

 回避するどころか果敢に攻めてきた麻耶の攻撃を、疾風はどうにか両手の刃で迎撃する。そのまま近接格闘戦に移行するが、さすがに高校生と小学生。相手が小柄なのでスピード以上に機動性で翻弄され、なかなかダメージを与えられずにいた。そのままもつれ合うように二つ目のチェックポイントを通過する。残るはゴールのみだ。

「えぇい! こうなりゃ!」

 近接戦闘が面倒になった疾風は源蔵のアイデアを流用することにし、海面をリラで撃って煙幕のようにした。そのまま一目散にチェックポイントへと向かい、振り切ろうとしたのだが……摩耶は蒸気の中に入ってこようとはせず、そのまま刃を構える。……すると、その刃からバチバチという音が聞こえた。

「……げっ、まさか……」

 その音を聞いて嫌な想像をしてしまった疾風は、すぐさま蒸気から逃れようと上に飛んだ。が、自分で撃った蒸気ながらそれはかなりの密度になってしまっており、その間に刃に白みがかった黄色の光が放出されて、それを見た摩耶は小さく呟き……

「いっせーの……」

 刃を蒸気に触れさせた。その瞬間、接触部分から黄色く細い光が……“電撃”が走った。そう、彼女の魔力色は黄色。すなわち……“雷属性”。

「あばばばばばば!」

 痺れ効果のある電撃をミストの中でモロに食らってしまい、スタンして動けなくなった疾風。しかも水蒸気のせいで電撃が増幅されているので、さらに威力が上がっている。

『これはすごいです! なんと電撃使いだった麻耶さん! 疾風さんの生み出した目くらましの蒸気を逆手に取り、逆に疾風さんの動きを封じました! これは疾風さんに大ダメージでしょう! ゴール目前でこれは痛い!』

「じゃ、お先に……」

 そう言った麻耶は、痺れ状態で動けない疾風に背を向け、その先のゴールへと飛んで行った。





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