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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十話 仮面の微笑
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れる。
一瞬視線がブラスターに向いた。そして足を払われバランスを崩して床に手を着いた瞬間、再度身体に強い衝撃を受け弾き飛ばされる。立ち上がろうとした瞬間に頭に冷たい何かを押し付けられた……。
帝国暦 488年 1月 1日 レンテンベルク要塞 ヘルマン・フォン・リューネブルク
「動くな、キルヒアイス准将」
「御苦労さん、シューマッハ准将」
「リューネブルク中将こそ」
シューマッハ准将はブラスターをキルヒアイス准将に押し付けながら答えた。甘かったな、キルヒアイス。背中を向けるなら念のためクローゼットの中を確認しておくべきだった。司令長官を殺す事に気を取られすぎだ。
キルヒアイスを床に押し付け、両腕を後ろにまわし手錠をかけた。更に両足にも手錠をかける。その上で体を引きずり上げ椅子に座らせた。俺とシューマッハ准将でキルヒアイスの後ろに立つ。司令長官がゆっくりとキルヒアイスに近づいてきた。
「ご苦労様ですね、二人とも。キルヒアイス准将、准将が来ると思ったのでクローゼットにはリューネブルク中将、浴室にはシューマッハ准将に待機してもらったのですよ。無駄にならなくて良かった……」
「……」
「全て喋ってもらいますよ」
「喋る事など無い!」
司令長官はキルヒアイスの拒絶の言葉に柔らかく微笑んだ。拒絶された事がむしろ嬉しいかのように。
司令長官の中で獣が歓びの声を上げているのが分かった。キルヒアイス、これからは貴様にとって間違いなく地獄だ、俺が保証してやる。お前達は司令長官を本気にさせた。その恐ろしさを十分に味わうと良い……。
「昨日、グリューネワルト伯爵夫人から連絡が有りましたね」
「……」
「隠しても無駄ですよ。准将の部屋には監視カメラと盗聴器が仕掛けて有るんです」
「……馬鹿な、何時の間に」
「何の為に要塞とロキで交代に休ませたと思っているんです」
「!」
「環境が変わると良く眠れないというのは嘘です。軍人なのですよ、何処でも眠れます」
そういうと司令長官はクスクスと笑い声を上げた。キルヒアイスの驚いた表情がおかしいのか、それとも他愛なく引っかかったことがおかしいのか……。
「監視カメラと盗聴器はこの部屋にも仕掛けて有るんです。分かりますか、その意味が?」
司令長官のその言葉にキルヒアイスが困惑した表情を見せた。
「困りましたね、私達がここで何を話したか、覚えていないのですか?」
「……」
「バラ園での襲撃事件、それと私を殺す理由、確かローエングラム伯が帝国を簒奪するためでしたね」
司令長官の楽しそうな言葉にキルヒアイスの表情が青褪め、体が小刻みに震え始めた。
「昨日伯爵夫人から連絡が有り、今日准将が私を殺そうとした。これはどういう意味なのか、どう思
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