432部分:第六十話 着陣その一
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第六十話 着陣その一
着陣
「それではだ」
「まずは名乗ろう」
新たに姿を現わした五人の狂闘士達は彼等がいるその山のところから再びミロと他の聖闘士達に対して告げてきたのだった。
「我等の名をな」
「それでいいな」
「俺はそれについては言わない」
その問いにはこう返すだけのミロだった。
「何もな」
「そうか。それならばだ」
「名乗らせてもらうとしよう」
ミロの言葉を受けてからであった。彼等はそれぞれ名乗りをあげた。
「公爵」
最初は左目が十字に潰れた隻眼の男だった。
「バシンのセーバー」
「伯爵」
白い髪のやや鋭い整った顔の女である。
「シャックスのケイト」
「子爵」
緑の長い髪の美女である。瞳も奇麗な緑だ。
「マルパスのフラウ」
「男爵」
濁った灰色の目をした男だ。
「ムールムールのマルジュ」
「公子」
赤い髪の小柄で可愛らしい少女であった。
「アムドゥシアスのメル」
「我等五人」
「フォルス達四人に加勢しよう」
高らかにこう言うのだった。
「それでいいな」
「インプ達はいないのか」
ミロは彼等の名乗りを受けたうえでこのことを問うてみせた。
「あの者達は今はいないのか」
「ふっ、今は置いておいた」
「我等だけで来たのだ」
そうしたというのであった。ミロの予想通りだった。
「この者達が危ないと思ってな」
「それでだ」
「余計なことだがな」
一応こう言いはするフォルスであった。
「だが。有り難く受けておこう」
「相変わらず素直じゃないわね」
その言葉を聞いて悪戯っぽい笑みを浮かべてみせたのはケイトだった。
「けれどそれがらしくていいわ」
「そうだな。フォルスはそうでなくてはな」
「フォルスではない」
セーバーとマルジュも言ってきた。
「しかし。それではだ」
「共に戦おう」
九人が動きを合わせてきた。ミロの前と山の上から。そこから見据えてきたのである。
九人は今まさにミロに向かおうとした。しかしだった。
「九人で一人を狙うとはな」
「何だ?」
「誰だ?」
狂闘士達はその声を聞いてすぐに声をあげた。
「この声は」
「何者だ?」
「アイオロスか」
ミロはその声を聞いてすぐにわかったのだった。
「貴方も来たのか」
「遅れて申し訳ない」
その声と共にだった。今黄金の翼を持つその男が出て来たのだった。それこそまさにサジタリアスの黄金聖闘士アイオロスに他ならなかった。
「ミロ、迷惑をかけたな」
「迷惑ではない」
それはそうではないと返すミロだった。
「むしろだ」
「むしろ?」
「早い位だ」
早いというのである。ミロは。
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