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あの日、ベガをたぶらかしたのは俺の方だった。
久しぶりに再会したベガは、背丈の伸びた俺に驚きながら無邪気に笑っていた。
屋台の視察と言いながら、食べ物を買ったりクジ引きをしたり。そんな中、俺は従者に気づかれないよう、こっそりとベガに揃いの指輪を買ってやった。
プラスチックの玩具だったが、薬指にはめてやると「キラキラしたお揃いだね」とベガは大喜びした。
何も知らない、細かな感情の区別もわからないベガ。
俺はそっとベガの手を掴み、周囲から隠すように手を繋いだ。ベガは驚いた顔をしたが、すぐに笑顔に戻って俺の手を握り返した。
このままベガを連れ帰りたい。
最初はそう思った。でもそれが叶わないことだというのは当時の俺でもよくわかっていた。
だから、せめて確かめてみたかったんだ。自覚しているかは別として、ベガも俺と同じ質の、同じだけの気持ちを持っているのかどうか。
俺は確かに言った。
「俺たちがガラッシアに生まれなければ、こうやって毎日でも2人で歩けたかもしれないな」
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