コンフルエンス
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。料理から漂う香りが皆の空腹を刺激し、どこからともなく腹の音が響き渡った。
『いただきます』
全員で手を合わせて挨拶をし、食事を始める。ゴーヤチャンプルはゴーヤの苦味を抑えながらガッツリした味付けで、トムヤムクンは食材の旨味が引き出されながら程良い辛さが堪能でき、見てるだけでご飯が進む料理の隣でサラダは口の中がさっぱりできるようにみずみずしかった。皆が美味しい美味しいと感想をこぼす中、ふと視線を感じたジャンゴは気付いた。
「「じぃ〜」」
マキナとはやてが妙に鋭い目でジャンゴを見つめていた。二人の様子はどことなく、合格発表を控えた受験生に似ていた。なぜ自分を見ているのかわからずジャンゴは首を傾げるが、隣で見ていたなのはは色々察してため息をついた。
「はぁ……ジャンゴさん、この料理は美味しい?」
「うん、美味しいよ。どれも食べた事のない料理だからすごく新鮮だ」
「じゃあさ、どっちの方が美味しい?」
「どっちって……せっかく美味しく出来た料理をわざわざ比べる必要なんてあるの?」
「あ……そっか、世紀末世界出身だからコンテスト的な事をする感覚が無いんだね。せいぜい回復効果の差で分ける程度?」
「何の話?」
「つまりね、マキナちゃんとはやてちゃんは料理対決をしてるんだよ。ジャンゴさんを審査員として、どっちが美味しく出来たのか判断してほしいんだよ」
「なんだ、それぐらい言ってくれればすぐやるのに。……え〜っと、どっちの料理が美味しいのか決めれば良いんだよね」
状況を理解したジャンゴはう〜んと腕を組んで熟考する。周りも静かに見守る事でちょっと緊張した空気を漂わせながらジャンゴの審査を待ち、しばらくすると彼は腕組みを解いて結果を発表した。
「良い勝負だったけど……僅差ではやての勝ち、かな」
「よっしゃー!」
「まぁ、妥当な結果だね。料理の経験は一応、八神の方が上なんだし。そもそも私はサバイバル飯なら慣れてるけど、普通の料理はちょっとこなせるだけだし」
「なんやマキナちゃん、何だかんだ言うてるけどホントは悔しいんか?」
「八神が優越感に浸りたい気持ちは察せるが、別に料理人は目指してないから悔しくないし。……別に悔しくないし」
「二度も言うんならやっぱ悔しいんやろ、ほら正直に言うてみぃ? ほらほらほら〜♪」
「(ウザッ……!)……あ〜はいはい、悔しい悔しい。八神はスゴイネ〜、後でとっておきのご褒美でもあげるよ」
「おぉ、マキナちゃんのご褒美! それは楽しみや〜!」
満面の笑みで構ってほしげなはやてに対し、マキナは鬱陶しそうなのを笑ってごまかしていた。ちょっと気まずい感じがしたが、料理対決の決着とはこういうものなのだろうと、ジャンゴはとりあえず納得し
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