コンフルエンス
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、無言のまま佇んでいた。
「あ……ジャンゴさん。……ビーティーは?」
「彼女はスカルフェイスの戦闘機に飛び移って、そのまま次元転移に巻き込まれた。おかげで今どこにいるのかも、無事かどうかもわからないけど、ビーティーだから心配はいらないと思う」
「そっか……となると行く前にこれを置いていった事から考えて、ビーティーはそうなるのも想定してたのかな」
なのはが取り出したのは、作戦前にビーティーが持っていたC4の遠隔スイッチだった。作戦ではこれを押すとC4が起爆、スカルズ生成装置ごと基地を吹っ飛ばす目論見で、あえて時限式にする事で基地内の人間を脱出させる猶予を持たせるつもりだった。しかしこの現状を鑑みるに、基地内に人間は誰一人としていない。潜入してきた自分達を除いて。
「作戦通りとはいかなかったけど、もうここに用はない。ヘリ要請を送るから、脱出次第そのスイッチでこの基地を爆破しよう」
「うん……まだ、全部終わってないもんね。私達は、歩みを止める訳にはいかないんだよね……生き残った者の責任として」
この短時間に二人もの死を看取ったなのはは、辛さを?みしめながらも顔を上げて強く前を向いた。泣くのは全てが終わった後でも良い、今はその時に流される涙を減らす努力をしよう。その姿にジャンゴは、両親を失って太陽少年として戦う事を志した時の自分の姿を重ねていた。
「じゃあ……帰ろうか」
そう言って差し出されたジャンゴの手を、僅かに微笑んでなのはは掴んだ。
十分後、一機のヘリがキャンプ・オメガを飛び立った。ウルズの国籍マークが付いたヘリの中から二人は基地を見下ろし、スイッチを押してC4を遠隔起爆させる。直後、基地の至る所が爆発し、紅蓮の炎に飲み込まれていった。
「これでスカルズが新たに生み出される事は無くなったはず。時間の猶予はあまりないけど、事態の解決には一歩前進って所か」
「直接じゃないけど仕返しができて、プレシアさんの無念も少しは浮かばれたかな」
雨で濡れた身体をタオルで拭きながら、ジャンゴは先のことを考えて気が遠くなりそうな感覚を抱き、なのははヘリ内に運び込んだプレシアの遺体が入ったベクターコフィンを見つめて冥福を祈った。プレシアが生前に為した事はこれからの未来で多くの悲劇を生み出しかねないだろうが、それでも必死に生きた一人の人間である以上、葬儀を行ってちゃんと弔うべきだと、あの基地でジャンゴが提案したのだ。
なのはとしては本能では家族の下へ連れて帰してあげたいが、理性ではそんな事をしている余裕はない、というせめぎ合いに苦悩していた所にこの提案が出てきたので当然、彼女は全面的に賛成し、残存する敵の目を逃れながらヘリまでプレシアを運びきった訳だ。なお、彼女に埋め込まれていた爆弾は、実はトドメを刺した
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