第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#13
決意の誓戦 “運命” VS 『運命』U 〜Destiny C/D〜
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【1】
「中の人、生きてますよね?」
路面に裏返り完全にスクラップと化したスタンドの車体を、
吉田は恐る恐る指でつついた。
塗装の剥がれ落ちたドアの表面は微妙に熱を持ち、
もしかしたら爆発するのではという懸念を想わせる。
「完全に壊れ(し)ちゃいましたけど、
スタンド自体が消滅してないから大丈夫ですね。
病院には自分で行ってもらいましょう。
ね? ライトちゃん」
問いかける主に、従者が恭 しく頷 く。
「さて、それじゃあ隠れる場所を探しましょうか。
結構大きな音出しちゃったから、
他の人が集まってくるかもしれません」
踵を返し、スタンドと共に歩き出す少女の背後で
突如けたたましい音が鳴り響いた。
「――ッ!」
振り向いた先、半壊した車が底面をこちらに向けたまま
鉛色の光を放って中空に浮いていた。
まるで前衛的な近代アートを想わせる、超然の光景。
即座に反転し体勢を持ち直したスタンドが、
重苦しい音を立てて向き直った。
「よくも……! よくもやってくれたなぁ〜、小娘ェッ!
確かに貴様を! 少し侮り過ぎていたようだ!!」
耳障りな合成音を掻き鳴らし、
車のスタンドは呪詛を込めて言い放つ。
「まだ、戦う気ですか!? そんなボロボロになってまで!?
これ以上は、はっきり言って無意味です!」
窮地に在っても折れない相手の執念に、
優勢な少女の方が気圧される。
「フン! 確かに貴様のパワーには少々驚かされたが!
これ位と想われても心外だ! 見せるしかあるまいッ!
我が “運 命 の 車 輪” の!
真の 「姿」 と 『能力』 を!!」
言葉の終わりと同時に、歪んだバンパーが、
潰れたタイヤが、拉げたボディが、
メキョメキョと意志を持ったように捻じ曲がり 「変型」 していく。
「そ、そんな! 壊れた箇所が元に戻っていく!?
今まで、本気じゃなかったって事ですか!?
あんなに大変だったのにッ!」
熟練した 『スタンド使い』 は、余程のコトがない限り
スタンドの 「正体」 を相手に視せない。
自分の 『能力』 の情報が漏れるという事は、
即 「死」 に繋がるという事実を経験的に知っているからだ。
ソレを敢えて晒した “運 命 の 車 輪” 本体。
コレは目の前の少女の実力といずれ恐るべき
『スタンド使い』 に成長するという
「才能」 を認めたコトに他ならない。
「!!」
息を呑む少女の眼前に現れたのは、
牙のような装飾を伴ったバンパーに、
鎖で繋がれたフロントウイング、
捻じ曲がった排気管を連結する中央の突起群。
真正面から視た姿は正に機
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