429部分:第五十九話 盆地での戦いその四
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第五十九話 盆地での戦いその四
「そしてだ」
「何っ!?まさか」
「次は」
「そうだ。受けるがいい」
ミロの全身に小宇宙が宿った。黄金の神々しい小宇宙が。
「このミロの拳を御前達自身もな」
「くっ、そうはさせるか!」
「我等とてだ!」
だがここで彼等はそれぞれ意地を見せてきた。
「誇りあるアーレス様の僕」
「その我等がそう簡単に倒されてたまるか!」
「受けよ!」
そのまま急降下しながらミロに対して攻撃を仕掛けんとする。
「我等のこの拳をだ!」
「そして死ね!」
「愚かな」
その彼等の言葉を受けても冷静なままのミロだった。態度は全く変わることがない。
「それではだ。死ぬがいい」
この言葉を出すと右手が光った。そこから無数の拳が雷の速さで放たれインプ達を貫く。
「ぐわあああああーーーーーーーーーっ!」
「言った筈だ。黄金聖闘士の拳は光だ」
攻撃を放ったうえでの言葉である。今インプ達はその光の衝撃を受けてそれぞれの戦衣を粉々にさせて宙に吹き飛ばされていた。
「光はまさに神の力」
それだというのである。
「その拳を受けて生きられる者はいない」
インプ達が次々と地面に落ちてきた。重いものが落ちる音がしていく。ミロはそれを俯いて目を閉じたうえで静かに聞くのだった。
「誰一人としてな」
「これがスコーピオンの力だというのか」
「黄金聖闘士の力だと」
インプ達は断末魔の中で呻いていた。
「恐ろしい男だ、スコーピオン・・・・・・」
「我等を全て倒すとはな」
「苦しまないようにはしておいた」
ミロはその彼等に対して静かに告げた。
「そのまま死ぬがいい」
「む、無念・・・・・・」
「我等では無理だったか」
こう言って事切れていく彼等だった。ミロはその彼等を静かに見ていた。
しかしそれで終わりではなかった。今度はフォルス達が彼に告げてきたのだった。
「まずは褒めておこう」
「褒めるというのか」
「インプ達を倒したことはな」
それを褒めるというのである。
「そのことは褒めておく」
「その言葉受けておこう」
フォルス達を見上げて返した言葉だった。
「そのままな」
「受けておくといい。こちらも皮肉で言ったわけではない」
こう返すフォルスだった。
「しかしだ」
「しかし、か」
「狂闘士の掟、既に知っているか」
「狂闘士の掟か」
「そうだ。同志が倒されたならばだ」
この場合の同志とはインプ達のことである。彼等以外の何者でもなかった。
「その仇を何処までも追い詰め倒す」
「それが狂闘士の掟だというのだな」
「わかったならばいいな」
あらためてミロに対して告げるフォルスだった。
「それではだ」
「来るのだな」
「覚悟はいいな」
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