第37話『恩人』
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?」
「ホントだって!」
ユヅキに猜疑の目を向けられるが、晴登は全力で否定する。確かに、そう思われても仕方のない行動をとってしまったのは事実だが、しかし真実をねじ曲げられるのは耐えられない。ここはなんとか、その意思だけでも伝えないと・・・
「ま、冗談だよ。ハルトはそんな人じゃないもんね」
「はぁ、なんだ…心臓に悪いからやめてよ…」
いつの間にか涙は引っ込んだのか、ユヅキはくすくすと笑った。またも、晴登は大きく息をつく。
と、そこで、ようやく思考がやるべきことを見出した。
「あ、ごめん、今出て行くから──」
遅ばせながら、晴登はすぐさま振り向いてドアを開けようとすると・・・ユヅキに袖を掴まれた。昼間の様にしっかりとだ。
「な、なに、ユヅキ…?」
「ねぇ、ハルトはボクの身体に興味ないの…?」
「は…?」
突然のユヅキの言葉に、晴登の思考はまたも停止する。
一体どういう意図で、その質問をしたのだろうか。全くわからない。
「その…もしハルトが望むならだけど…見せてもいいよ…?」
「いや待って待って! 俺らって今日会ったばっかだよ!? そんないきなり…」
後ろを振り向かぬまま、晴登は言葉を返す。尤も、語尾には力が無かった。
ユヅキの言葉の意味を理解すればするほど、心拍数が急激に上昇する。下手すると、袖を通して伝わってしまうのではないかというほど。
「でも今日、ハルトにボクは救われた。その恩返しだよ」
「救う? 昼間の話なら、ユヅキが自分で解決したじゃん…?」
「違う。その話じゃないの」
「え?」と疑問符を浮かべた晴登。
そして、反射的に振り向いてしまう。しまったと思ったが、時すでに遅し。
眼前にアップで映る、身体にバスタオルを巻いた銀髪の美少女。濡れて艶やかになっている髪の毛に、紅く火照っている頬がその可憐さをさらに際立たせていた。当然、その姿に晴登は惚けてしまう。
恥じらっている様子が、これまたいじらしい感じを醸し出す。
しかし、その格好の危険度を理解すればするほど、晴登の心臓はより一層激しく動く。
無防備。もし、今の誘惑に頷いたら・・・
「ど、どの話…なの?」
喉に詰まる声を絞り出して、晴登は訊く。
目の前の人物が少年ではなく少女と気づいた時から、晴登のユヅキへの見方が変わっていた。意識しない方が無理だ。
今、晴登は無防備な女の子と一つ屋根の下にいる。
ユヅキの言葉の真意を聞くより先に、その事実が晴登の心を大きく揺らす。
そして、そのことから連想される数々の言葉が、晴登の思考を埋め尽くした。
「それはね──って、ハルト!?」
ついに
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