帰郷-リターンマイカントゥリー-part6/偽りの婚約者
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」
ルイズは魔法を使う度に、爆発しか起こせないことを知っていたカトレアだが、今の魔法がルイズのものではないとすぐにわかった。普段ならルイズがいきなりなにかをやらかしたと思うものだが、このときのカトレアは、今の爆破がルイズの失敗魔法とはまるで違う気がし、嫌な予感がよぎっていた。
「ムサシさん、なにかがおかしい気がするの」
「おかしい?どういうことです?」
「ルイズの身に何かがあったような気がするわ」
カトレアの表情が不安で曇り出す。その不安はハルナにも伝染した。
「平賀君…!」
ハルナは、さっきまでの躊躇いを打ち消し、サイトを追ってカトレアの部屋を飛び出した。
「は、ハルナちゃん!だめだ、戻って!」
ムサシやピグモンの呼び掛けも届くことはなかった。
「ピピィ!」
「…仕方ない!カトレアさんはここにいてください!ピグモンはカトレアさんを守ってて!」
「ピィ…」
「え、ええ…」
ムサシは飛び出したハルナを無視できず、カトレアにはここで待つように言い渡すと、自らも部屋を飛び出した。
「目的はなんだ!ルイズを解放しろ!」
サイトはデルフの刃先を向けながら、セミ人間に向けて怒鳴った。
「すでに理解していると思っていたのだけどね。この世界は文明こそ遅れてはいるが、他の星では見られない特別な力があることは」
それに対し、セミ人間はさも当然のごとく言い放った。
「この世界の人間には、他の星では見られない特別な力…魔法だったか、それを持っている。その謎を解明し我がものにできれば、他星への侵略計画に大いに貢献できるだろう」
「てめえ…」
ボーグ星人と同じタイプか。サイトは不快感を抱く。
「しかもこの娘、話によると他にはない特別な力があるそうじゃないか。しかしただ近づくだけでは警戒されかねない。だから本物のフレデリックを殺して成り代わっていたのさ」
目的はルイズの虚無の魔法、そのために罪もない本物のフレデリックを殺害したのか。ますますサイトはセミ人間への怒りを募らせる。
「許さねえ…」
ワルドといい、こいつといい…ルイズが可哀想すぎる。一体どれだけ人を弄べば気がすむのだ。
「許さないというなら、どうするっていうんだい?」
「決まってる。宇宙の悪は懲らしめてやるだけだ!」
サイトは改めてデルフを構え、セミ人間に飛び掛かろうとした時だった。
「気の早い奴だ。僕が無策で来ると思っていたか?」
剣を向けられてなお、余裕の姿勢を崩さないセミ人間は指をパチンと鳴らすと、大きな地響きがヴァリエール領内で発生した。
そして、地底から一体の巨大な怪獣が、ヴァリエールの大地に姿を現した。
「れ…レッドキング!!」
サイト自身見るのは初めてだが、地球ではなじみ深くもあるその恐ろしい怪獣の名を呟いた。
「ギャオオオオオオオオ!!」
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