帰郷-リターンマイカントゥリー-part6/偽りの婚約者
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めていき、やがて人間の姿とは全く異なる異形の姿に変身した。
「ッ!」
顔がセミのような形を取った、吹きみな怪人だった。その異様な姿にルイズは悲鳴を漏らした。
「バルタン…?いや、違う!お前は誰だ!?」
奴のセミに酷似した姿は、かつて親を失い孤独になった中学生時代のサイトを利用したバルタン星人に似ているような気がした。でも、奴らの特徴でもある両手のハサミもない。
「僕は…そうだな、君たちがチルソニア遊星と呼ぶ星から来たものだ」
フレデリック…『セミ人間』は自らをそう名乗った。
「ルイズは見つけたか?」
一方、ヴァリエール公爵は執事のジェロームに、ルイズを見つけたかを尋ねる。
「いえ、お嬢様のお姿はまだ見つかっておりませぬ」
「そうか…」
そう答えた公爵だが、実は彼はルイズがどこに隠れているのかを知っていた。ルイズがまだ6歳だった頃、彼女が魔法の実践で失敗したことを妻と長女らから咎められいずこかへ逃げた時、ワルドが度々見つけ出してくれていた。それから公爵は、娘がどこへ逃げたのか気になり、またお叱りの言葉を受けて逃亡した娘をワルドが追っていくのを密かに追ってみると、池の小舟で二人きり、将来を誓い合った二人らしい会話を交わしあっている姿を見つけたのである。
「まあよい。しばらくしたら頭を冷やすことだろう。それまでそっとしておいてもよい」
「よろしいのですか?」
「あの子にも時間は必要だ。あの子もヴァリエールの人間、最後は必ず戻ってくるはずだ」
「…わかりました。では」
ジェロームは公爵の言葉を聞き入れ、公爵の前から去っていく。
すると、入れ替わるように今度は妻であり、ルイズら三姉妹の母でもあるカリーヌがやってくる。
「ルイズは見つかったのですか?」
「いや、見つかっておらんそうだ」
「…嘘をおっしゃられる。本当はもうあの子がどこにいる子かなんてご存じでしょう?」
窓から外を眺める公爵に、カリーヌは直後にそれが嘘だと看破した。
「…お前に隠し事は出来ぬか」
妻は鋭い。もしかしたらカトレアの勘の鋭さはここから来たのかもしれない。そう思えてならない。
「カトレアの言うとおり、まだあの子には早かったかもしれん。ワルドの時もそうだったようにな。だが、戦う力のないあの子に、怪獣共に立ち向かうなどという愚かな考えを捨てさせねばならん。
だがあの子のことだ。おそらく、周囲を認めさせたがっているがゆえに、無謀な道を歩こうとしている。それを強く思っているからこそ、簡単にわしの決定に頷いてくれないのだろうな」
遠い目で窓の外を眺めながら公爵は厳格な姿勢から、どこか穏やかな口調で言う。娘の、陛下の命令で怪獣や異星人対策の任務に出ていると聞いたときは、顔に出さなかったものの驚いていた。そして…なんとしてもそのような危険な道から娘を遠
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