第189話 都を臨む
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た。
「私達は橋瑁の死を確認したら、一度揚羽様の元に帰ります。真悠様、くれぐれもご無理をなさらないようにお願いします」
「分かっている。失態は絶対にしない」
間諜は真悠に頭を下げると立ち去って行った。真悠は間諜の気配が感じられなくなったことを確認して鋭い目で口角を上げ笑った。
「ここが踏ん張りどころだ。賈文和を八つ裂きにしてやりたいところだが、あの女にかまけすぎて弘農王を確保できなければ物笑いの種になってしまう」
真悠は苛立たしそうに声を大きくした。
「賈文和はいずれにせよ悲惨な末路しか待っていない。虎牢関が呆気なく落ち、董仲穎軍の死に体を露呈した。禁軍から蜂起を起こす者達も出てくるはずだ」
真悠は愉快そうだった。彼女は何か名案が思いついたのか神妙な表情に変わった。
「この状況を利用しない手はない。董仲穎達に不満を持つ表向き大人しくしている禁軍の校尉に蜂起を促させるとするか。このままいけば失脚すると囁けば靡く者は必ず出てくるだろう。奴らも義兄上との伝手は喉からでる程欲しいはず」
真悠は立ち上がり部屋を出て行った。
都の城下で陰謀を巡らす者がいる中で董卓側は逼迫した状況に苦慮していた。
「恋は私達をやっぱり裏切ったわね」
賈?は舌打ちし親指の爪を噛んだ。そして、彼女は自分の髪を滅茶苦茶にかき乱した。
「三十万の軍勢に突撃した上で降伏したのだ。裏切った訳ではない」
段?は賈?の言い分を否定した。
「静玖さん、難航の要塞、虎牢関を一日も留めることができなかったんです。虎牢関ならあの大軍相手でも三日は持たせられたはず」
「たった、五千しか兵を預けずよく言えたものだな!」
段?は賈?を睨み強い口調で非難した。賈?が恋達を殺すつもりだったと段?は憤りを感じていた。
「恋は疑っていません。でも、音々音は恋の命を守るために裏切る可能性がありました。そんな奴がいる場所に大軍を預けることはできない。いつ私達にその矛先を向けるかもしれないじゃないですか」
「お前がそうでは恋達が命をかけて戦う義理などあるまい」
段?は賈?に吐き捨てるように言った。月は心痛な面持ちで二人の遣り取りを聞いていた。
「それより使者をどうするかだ。橋元偉が来ている」
「会うつもりです」
「その後、どうするつもりだ?」
段?は橋瑁の扱いをどうするのだと尋ねた。
「どうもしないです。追い返します。橋元偉を斬ったら、劉正礼が都に進軍してくるのは目に見えています」
賈?は即答した。
「それ以外にないな。ただの時間稼ぎでしかない」
段?も賈?の考えに同意した。
「これからどうするつもりだ。禁軍はもはや信用できなくなった。何時裏切るか
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