第189話 都を臨む
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下働きの格好しているのだ。同じく間諜も真悠と同じ風体をしていた。
「皇帝陛下と弘農王の居場所は分かりましたでしょうか?」
間諜は話を切り真悠に仕事の進み具合を聞いてきた。これも間諜が揚羽から受けた指示の一つなのだろう。
「皇帝陛下の所在は把握しているが、弘農王の所在はようとして知れない」
真悠は眉間に皺を寄せ不機嫌そうに答えた。彼女は弘農王の所在を血眼になって探していた。今のところ有力な情報は掴むことができていない。その理由は董卓の屋敷が警備が厳重過ぎて間諜を潜入させることができずにいたからだった。
真悠は既に弘農王を探すことは諦めていた。だが、それは今が探す時期では無いと結論ずけただけで、弘農王を探すことを諦めた訳ではない。彼女は正宗が都を大軍で攻める時に動くと決めていた。そして、董卓の屋敷の襲撃を成功するため、凪との共同戦線を敷く方向で凪と調整していた。
真悠が凪に協力を仰ぐ気持ちになった理由は凪の手元にいる兵数にあった。現在、凪は千近い兵を都に彼方此方に紛れ込ませている。凪の兵の多さの理由は凪が董卓の屋敷の厳重さを実感し冀州から兵を呼び寄せたからだ。
真悠も一度は冀州から兵を呼び寄せようと考えたが、それを正宗に願いでれば董卓確保が任務である凪に一任しろという流れになることが分かっていたため自重した。
「車騎将軍と揚羽様は弘農王を無視してもいいと仰っております。最悪、皇帝陛下を確保し、そのまま都から離脱してください」
「結論を急ぐな。董仲穎の屋敷をまだ調べていない。あそこにいるかもしれない」
真悠は間諜の言葉を遮った。
「董仲穎の屋敷であれば楽文謙殿にお任せしてはどうです。楽文謙殿は董仲穎の屋敷を襲撃するためにかなりの手駒を揃えていると聞いています」
間諜の言葉は理に適っていた。しかし、真悠は凪に任せるつもりは微塵もない。
「楽文謙に見す見す手柄をやるつもりはない。今、楽文謙と共同で董仲穎の屋敷を攻める方向で調整している」
真悠は間諜を睨み付け冷たい口調で言った。彼女は間諜の助言に耳を貸すつもりはないようだった。
「そこまでして弘農王を抑える理由があるのでしょうか? 皇帝陛下を抑えれば手柄としては十分と思います」
「弘農王にもはや価値はない。だが、利は十分にある」
真悠は賈?憎しだけで董卓の屋敷を襲撃することに固執しているわけでなかった。彼女は都の諜報を進める内に皇帝・劉協が、弘農王のことを兄として慕っている情報を入手した。そして、董卓が弘農王の身を拘束し軟禁したことで皇帝と董卓に深い溝を作っているということも知った。
真悠は「自分が弘農王を保護すれば劉協の歓心を得ることができる」と見ていた。それは正宗の利益に繋がり、ひいては彼女の利益になると考えてい
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