第189話 都を臨む
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。向こうには皇帝陛下と弘農王がいましたね」
冥琳と朱里は意見を交わし考えを整理していた。二人の結論は揚羽の考え通り、董卓軍を心理的に圧迫しつつ攻める機会を待つしかないと結論づけた。
「やはり橋元偉殿には頑張っていただくしかありませんね」
冥琳と朱里は言葉と裏腹に冷たい目で都の城壁を凝視した。彼女達は橋瑁が交渉を成功させることを期待している様子は無かった。それは揚羽・正宗も同様だった。
なぜなら、この使者を送る行為自体だが揚羽の策であるからだ。そして、この場の四人と桂花はその策の内容を承知していた。
「揚羽、手筈は整っているのだろうな」
「昨晩の内に全てつつがなく終わっております」
正宗は鋭い目で都の城壁を凝視していた。彼は橋瑁を都から返すつもりはなかった。董卓側が橋瑁を殺害しない場合、橋瑁を董卓軍の手にかかったように見せかけて暗殺するつもりだった。
正宗の意を実行するため、揚羽は昨夜のうちに都へ部隊を送り込んだ。橋瑁の死を利用して都を攻める口実を作るためだった。
「使者が帰ってこなければ都にいる百官達も反逆者として根切りにせよ」
「心得ております」
揚羽は正宗に意味深な笑みを浮かべ答えた。
「義母上は未だ都にいるのか?」
「頑固者ですので今も都から出ていません」
揚羽はすました顔で正宗を見た。彼女は母のことを心配している様子は無かった。
「義母上の所在は確かめているのであろうな」
正宗は厳しい目で揚羽を見た。
「特定しています。董仲穎側の監視があるため頻繁とはいきませんが、我らが突入する頃には橋元偉殿の監視につけた者達が動く手筈です」
「この戦が終われば都は風通しが良くなる」
正宗は強い意志の籠もった瞳で都の城壁を見た。
「まことにその通りにございます」
揚羽は笑みを浮かべ正宗に声をかけた。彼女は晴れやかな表情だった。橋瑁の死を悼む様子はない。対して正宗は時折瞳に苦悩の色を点していた。
揚羽の陰謀が着々と進む中、都は慌ただしい雰囲気だった。虎牢関を抜けた反董卓連合の軍勢が都から目と鼻の先に現れたからだ。三十万の軍勢であるため遠眼でもはっきりと視認できる状態にある。都に住む人々は大軍勢に恐怖して逃げだそうとしたが、賈?の指図により都を去ることもできずにいた。
「義兄上の命令はしかと理解した。私達も計画通りに動く」
真悠は揚羽が都に送り込んできた間諜から報告を受けていた。今、真悠は平民の服を着て商家の倉の中にいた。彼女は貴人であるとばれないように態々顔を泥で汚している。彼女が今居る商家は司馬家とは昔からの付き合いがあり、都で一番安全な場所といえた。だが、その代わりに商家に賈?の監視の目があった。それで真悠は態々貧相な
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