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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十九話 信頼と忠誠
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だ、一体何が有ったのか。
『今日、内務省に憲兵隊の一斉捜査が入ったわ』
「!」
『先日あったエリザベート様、サビーネ様の誘拐に内務省が関係していたらしいの』
憲兵隊が内務省を一斉捜査……。誘拐事件の捜査、それだけだろうか。いや、それよりも何故アンネローゼ様は私にそれを伝えようとするのか……。
「そうですか、帝都も物騒ですね。アンネローゼ様も気をつけてください」
『有難うジーク、私は大丈夫よ。それよりラインハルトの事だけれど……』
「ラインハルト様が何か」
アンネローゼ様が視線を伏せた。どういうことだろう、ラインハルト様に何か有ったのだろうか?
『二週間ほど前からオーディンである噂が流れているの』
二週間前、私達がオーディンを発った後か……。
「噂、ですか」
アンネローゼ様は頷くと話を続けた。
『先日起きたヴァレンシュタイン元帥襲撃事件だけれど、軍の一部に加担するものが居る、そんな噂よ』
「!」
『皆が言っているわ、ヴァレンシュタイン元帥を邪魔に思っているのはラインハルトだと、ラインハルトがヴァレンシュタイン元帥を暗殺しようとしたのではないかと……』
「……」
『今回の憲兵隊の狙いも本当はラインハルトではないのかしら、弟は誘拐事件にも関与しているとしたら……』
アンネローゼ様の顔面は蒼白だ。この噂で酷く怯えている。
「そんな事は有りません、ラインハルト様がそんなことをするなどありえないことです」
『でも』
「?」
『リヒテンラーデ侯がラインハルトを疑っているみたいなの』
「!」
リヒテンラーデ侯……、と言う事は噂は故意に流れた? いやそれよりもこの件はヴァレンシュタイン元帥も知っているのだろうか? それともリヒテンラーデ侯の独断? 狙いはラインハルト様の排除……。
『ジーク、本当にラインハルトは大丈夫かしら。私、心配で……』
「大丈夫です。ラインハルト様がそんな事をするはずがありません。信じてください。それよりこの事をラインハルト様に話しましたか?」
『いいえ、話していないわ』
「そうですか、ラインハルト様は辺境星域の平定でお忙しいはずです。このような噂でお心を騒がせる事は有りません。アンネローゼ様も余り気にしないでください」
アンネローゼ様が私を見ている。縋るような視線だ、胸が痛む。
『信じていいのかしら』
「もちろんです」
そう、ラインハルト様があの事件に関与している事は有り得ない。アンネローゼ様の顔にようやく安心したような表情が浮かんだ。
『ジーク、弟の事を御願いね。あの子が道を踏み外す事が無いように見守ってやって欲しいの。もしそんな兆しが見えたら叱ってやって。ラインハルトは貴方の忠告なら受け入れるはずだわ』
「私に出来る事なら
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