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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十九話 信頼と忠誠
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ち内務省の意のままに汚れ仕事を行なう、エーレンベルクにとっては腹立たしい思いがあるのじゃろう……。
「誘拐事件はラング社会秩序維持局局長の命で行なわれました。フロトーの話では予め宮内省、近衛兵との間で誘拐事件への協力体制が出来ていたそうです。フロトー達は何の心配も無く誘拐を実行した……」
「……」
「明日早朝、内務省の局長以上の職に有る者を一斉に逮捕します、内務尚書もです」
エーレンベルクがシュタインホフが目で答えを促してきた。
「良かろう。手抜かりの無いようにの」
「はっ」
どうやら一年の最後の日まで忙しくなるか、これでは新年も忙しくなるのは確実じゃの。
「ところで、フロトー大佐は内務省とローエングラム伯の繋がりについて何か知っておったか?」
「いえ、それについては何も」
「……」
所詮はただの道具か、役に立たぬの。
「ところで、リヒテンラーデ侯はカストロプ公が十年前、ヴァレンシュタインの両親を殺した事をご存知でしたか?」
エーレンベルクがこちらを窺うように訊いて来た。やはり犯人はフロトーだったか、因縁じゃの……。
「……知っておる」
「では、ヴァレンシュタインは」
「あれも知っておるよ、エーレンベルク元帥」
部屋に沈黙が落ちた。
「侯がお教えになったのですかな?」
「いや、既に知っておった。ある人物から真相を聞かされたと言っておったがの。誰に聞いたかは想像が付く」
「ヴァレンシュタインが皇帝の闇の左手と言う事は有りませんか?」
シュタインホフが恐る恐ると言った口調で問いかけてきた。なるほど、これが訊きたかったのか。エーレンベルクもシュタインホフも半信半疑と言った所じゃの……。
「私も一時は疑った事もある。だが違うの、皇帝の闇の左手は陰で動くものたちじゃ、目立つ事は好まぬ。おそらくはあれに教えた者が闇の左手だったのではないかと思っておる」
「それは一体……」
「卿らは知らずとも良い。私も確証があるわけではないからの」
「……」
おそらくはあの老人じゃろうが、当人が死んだ今となっては全てが闇の中じゃ。無理に掘り返す事もあるまい。そのような事をしても何の役にも立たぬ……。
帝国暦 487年 12月31日 レンテンベルク要塞 ジークフリード・キルヒアイス
『ジーク、御免なさいね、貴方も忙しいでしょうに』
「いえ、そんな事はありません。それより何か有ったのですか」
スクリーンに映るアンネローゼ様の表情は思い悩むかのように曇っている。少しやつれている様にも見える。一体何が有ったのか。
仕事を終えレンテンベルク要塞にある自室に戻るとアンネローゼ様からメッセージが届いていた、連絡が欲しいと。アンネローゼ様から連絡を望むなどこれまで無かった事
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