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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十九話 信頼と忠誠
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えるべきだろう。
陰謀、謀略も洗練されれば芸術足りうる。どうやら帝国には俺を超える男が居るようだ。しかも銀河を統一し宇宙を平和にしようなどと考えている。冗談ではない、混乱してこそ謀略も陰謀も輝くのだ。俺の存在を無にするような平和など俺には必要ない。徹底的に抗ってやる。
帝国暦 487年 12月30日 オーディン 軍務省 軍務尚書室 クラウス・フォン・リヒテンラーデ
「もう直ぐ今年も終わるの」
「そうですな、早いものです」
「随分と事の多い一年だったような気がしますな」
エーレンベルク、シュタインホフが感慨深げに一年を振り返った。確かに事が多かったの、その割りに一年が早く過ぎた。エーレンベルク、シュタインホフの言う通りじゃ。
「昨年の今頃ですな、第三次ティアマト会戦から遠征軍が戻ってきたのは」
「そうか、あれは去年の事だったか、もっと前に起きた事のような気がしたが……」
「卿らがそう思うのも無理は無い。春には第七次イゼルローン要塞攻防戦で大敗を喫した。そして夏にはシャンタウ星域の会戦で大勝利を、秋には勅令が発布され冬には帝国を二分する内乱が起きたのじゃ。なんとも忙しい事よ……」
「来年はどうなりますかな」
「忙しくなるのではないかな、軍務尚書。三年でフェザーン経由で反乱軍に攻め込むと言ったのだからな」
「シュタインホフ元帥の言う通りよ、人使いの荒い小僧じゃからの、楽が出来るとは思わぬ事じゃ」
皆、顔を見合わせ苦笑した。忙しくはあるがやりがいがあるのも事実じゃ、辛いと思う事は無い。
「それで、例のフロトーと言う男、何か吐いたか。噂では何も喋らず耐えていると言う話じゃが」
「フロトー大佐は全て吐きました」
全て吐いた? となると噂は憲兵隊が故意に流したか……。
「それで、どうなのじゃ軍務尚書」
「フロトー達はカストロプを離れた後、直ぐに内務省の社会秩序維持局と接触したそうです」
「……」
カストロプ? まさかとは思うが十年前の一件、その者達の仕業と言う事は有るまいの。
「フロトー達はカストロプ公の命令で疑獄事件の揉み消し工作、あるいは犯罪行為を行なっていました。内務省にはその犯罪の記録が有った。警察組織を握っているのです、当然と言えます。社会秩序維持局は自分達に従わなければ記録を公表すると言って脅したそうです」
「……」
「それ以後彼らは内務省の裏の仕事を行なうようになりました」
「待て、社会秩序維持局では無いのか?」
「仕事は必ずしも社会秩序維持局の物ではなかったそうです。フロトー達は社会秩序維持局ではなく内務省の財産になったのでしょう」
エーレンベルクが嫌悪も露わに話す。軍人でありながら犯罪に身を染めたばかりに身動きが取れず、奈落に堕
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