第十八話 墓参りその十三
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「胸を張りだ」
「そのうえで」
「墓参りをするといい」
「それでは」
「その様にな、それでだが」
さらに話す太子だった。
「マリー王女とはだ」
「この度だけでなく」
「また会うべきだ」
妻にこのことを勧めるのだった。
「是非な」
「そうすべきですか」
「姉妹の仲はよくあるべきだ」
倫理、摂理として当然のことだ。だが太子はこの国を分裂させない為にこう妃に言ったのである。それは政治であった。
「是非な」
「姉妹の仲がいいことは」
「神は家族の和を唱えておられる」
信仰からも言った。
「それ故にだ」
「仲睦まじくあるべきですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「それが自然でありあるべき姿だからな」
「家族は、ですね」
「一つであるべきなのだ」
それが結果としてこの国を強くし太子の出自である帝国の敵である王国に対することが出来るからである。
「絶対にな」
「それ故に」
「マリー王女とはだ」
「これからもですね」
「会い話をすべきだ」
「では」
「次の機会が来ればな」
その時はというのだ。
「そうすべきだ」
「それでは」
「では参るとしよう」
ここまで話してだ、そのうえで。
太子もまた聖堂に参るのだった、これは彼にとっては儀礼としても政治のうえでも必ずしなければならないことなのでそうしたことだった。マイラの夫即ちエヴァンズ家の一員にもなっているからだ。
彼も聖堂に向かいその聖堂の前にだった、マリーが顔所の側近達を従えてそのうえマイラ達を待っていた。
マリーはマイラに自ら立ち寄りだ、一礼をしたうえで姉に言った。
「では今より」
「はい、これから」
「共にですね」
「参りましょう」
こう妹に言った、マイラも。
「これより」
「それでは」
こう話してだ、二人は並んでだった。
聖堂に入る、その二人を見てだった。この国の者達は静かでいたが。
王国の密偵達は兵達に声をかけられ警戒し軽挙は止めた、だが二人を見つつひそひそと彼等の間で話をした。その話はというと。
「どうもだ」
「うむ、あの二人はな」
「溝がある」
「確実にな」
「その溝は広い」
「そして深い」
二人の関係の複雑さを感じ取っていた、そのうえで話をするのだった。
「旧教と新教か」
「そして側室の子と正妻の子だな」
「二人の関係はやはり複雑だ」
「微妙なものがある」
「共に王位継承権を持っているが」
「二人は違う」
明らかにというのだ。
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