423部分:第五十八話 高山にてその五
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第五十八話 高山にてその五
「その時にな」
「つまり戦う時にってことですね」
「そういうことですね」
「警戒はするべきであり油断してはならない」
このことは再び言うミロだった。
「しかしだ」
「強張ってもいけないってことですか」
「過剰に」
「そうだ。そして戦う時になればだ」
ミロの言葉は続く。
「普通に戦うことだ」
「普通に?」
「といいますと?」
「己のその闘い方を忘れるな」
ミロの言葉がまた変わった。
「わかったな」
「己の、といいますと」
「それは」
「その時になればすぐにわかる」
やはり今は言わないミロだった。
「戦いになればな」
「そうですか。じゃあ今は」
「わからないってことですね」
「そうだ」
言葉は変わらなかった。そのままであった。
「それではだ。先を急ぐぞ」
「ええ、わかりました」
「じゃあ」
彼等は山をさらに進んでいく。そうして暫く進むとだった。
途中食事を採った。簡単なものである。この地域のトウモロコシを入れたパンと干し肉だ。それをインスタントのスープやコーヒーで流し込む。馬やアルパカ達にも食事をやることを忘れない。
七人で車座になってそのうえで座って食べている。食べているものは七人共同じだ。丁度山の盆地になっているところで落ち着いて食べている。
その中で、であった。カペラがミロに対して言ってきたのである。
「それで次の村ですが」
「どれ位だ?」
「思ったより順調に進んでいまして」
まずは彼等にとって喜ぶべきことであった。
「それで今日の夕方には到着することができます」
「そうか」
「そこで一泊しまして」
カペラの言葉は続く。
「それからまたマチュピチュにですね」
「向かうとするか」
「また食料を買ったうえで」
「そうだな。馬やアラパカ達のものもな」
「はい」
馬達は今は辺りに生えている草を食べている。今は草がある場所で休息を取れているのが幸いした。馬達にしろ食べなければ身がもたないのである。
「それも忘れないで」
「そうしよう。それでだ」
さらに話すミロだった。
「到着は今日の夕方になるのだな」
「はい、そうです」
ミロの問いにまた答えるカペラだった。
「そうですが」
「そうか。それではだ」
ここでミロの目が鋭いものになった。
「若しかするとだ」
「若しかすると?」
「といいますと」
「来ている」
その鋭い目での言葉だった。
「奴等がな」
「奴等がですか」
「といいますと」
カペラだけでなくシリウスもその言葉に反応を見せた。
「遂に来たのですね」
「そうだ。小宇宙が無数にだ」
まずは小宇宙を感じ取ったのである。
「こちらに近付いて来ている」
「そうですか
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