第11話『異端の烙印〜ガヌロンからの招待状』
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どのようにして凱の存在を察知したのか、その疑問をかき消すかのように、理不尽なやり方から生まれる激情の波が生まれた。
なぜ?
どうして?
あの人がこのような目に合わなければならない?
感情を抑制しきれなくなった有力者たちは、次々と罵声を吐きまくった!
「……あなた方は!無法にもテナルディエ軍がアルサスに侵略しに来た時、騎士団は誰一人駆けつけてくれなかった!」
「それに比べ!ガイさんはたった一人で!テナルディエ軍に立ち向かったんだぞ!アルサスを護る為に!」
「騎士なんか信じられねえ!陛下に忠誠を誓うティグル様を助けようとしないなんて!」
水が沸騰するかのような抵抗射撃に、代官たちはたじろいたかと思いきや――
「ならば、その言葉を国王陛下にお伝えしよう」
「「「な!!!」」」
水を打ったかのように、静まり返った。
流石に代官のこの切り返しは、反対勢力共を呆気に取らせた。
「何の権利があってあんたたちは!?」
「今の私たちはいわば使者だ。私の言葉は陛下の言葉であり、私の目と耳は陛下のものなのだ」
毅然とした態度は、さらに肥大する。
「いかに貴様等が何を申し立てしようが、この通告を拒絶する事まかりならん!!」
ふざけた理不尽。ねじ伏せる無秩序な理論に、思わず歯噛みしてしまう。
「ぐぬぬぬ!!」
「用件は伝えた。では10日後までに彼の身柄の引き渡しを頂きますよう――」
規律の整った踵返しで来た道を戻っていく。そして彼は戸を開き、外へ出て、アルサスを出て王都へ戻っていく。
その不遜極まりない後姿を見送ったアルサスのみんなは、これからの展開に頭を悩ますこととなった。
異端嫌疑。つまり、嫌疑者を庇い建てすれば、その者の身内も嫌疑にかけられる。叛逆者とは扱いが違うのだ。
「これ……ティッタちゃんになんていえば……」
「俺たちが……ガイさんが……一体何をしたっていうんだ?」
今後の情勢を憂う暗雲が、確実にブリューヌを覆い始めている。
翌日、この知らせを受けた町の有力者たちは、重い足取りでヴォルンの屋敷へ訪れた。
信じてきた国が信じられなくなったとき、始まるのだ。民草が新たな時代へ駆けあがる戦いを――
『翌日・アルサス中心都市・セレスタ』
先日訪れた代官の言葉を受け、凱は歯ぎしりした。それは、何に対する怒りなのかはわからない。
「こいつはうかつだった。この展開は俺の責任……」
ぼやく凱の隣にいるオージェ子爵が、苦々しく語る。
この場に居合わせているのは、凱、ティッタ、オージェ子爵、ルーリック、バートランだ。皆ティグルとエレンの帰還を待ちわびている、信頼熱き人物たちだ。
「ガヌロン公爵にボー
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