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魔界転生(幕末編)
第70話 龍馬の思惑
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「ひ、ひさしぶりじゃの、弥太郎。元気してたか?」
 龍馬は岩崎に手を差し出した。
「あぁ、なんとかな。おまんも元気そうでなによりじゃ」
 岩崎は龍馬と握手を交わした。が、その手の冷たさに驚いた。
「りょ、龍馬、おまん、なんぜよ。その手の冷たさは?」
 岩崎の言葉に龍馬はいつものごとく屈託のない笑顔で答えた。
 岩崎だけではなく、グラバーも龍馬の手の冷たさに驚きを感じていた一人だった。
(もしや、やはり本当に龍馬は死んでいて、どういう訳か蘇ったのではないのだろうか?)
 岩崎はすぐにそう察した。そして、やはり、会うべきではなかったと後悔し始めた。
「さて、早速なんじゃが、弥太郎、グラバーさん、おまんらの力を貸してほしいんぜよ」
 龍馬は椅子に座る前に深々と頭を下げた。
「な、なんぜよ、龍馬。唐突に」
 岩崎は話もしていないのに、いきなり頭を下げてきた龍馬に驚いた。
「そうですよ、ミスター・坂本。話もなく力を貸せと言われても、何をどうすればいいのかわかりません」
 グラバーは龍馬を諭すように片言の日本語で言った。
「そうじゃのぉ。グラバーさんの言う通りじゃな」
 龍馬は大声で笑った。一同は席に付いたのと同時に龍馬は話始めた。
「実はのぉ。わしは日本から離れようと思う」
 龍馬の突然の話に岩崎とグラバーは驚きを隠せないようにお互いの顔を見つめあった。
「日本を離れるってどういうことぜよ、龍馬?」
 先に口を開いたのは岩崎の方だった。あまりにも突拍子のない話ではあるが、龍馬らしいと感じた。
「まぁ、坂本さんらしいと言えばらしいが、なぜ、今なのです?」
 グラバーは訝しげに龍馬に聴いた。グラバーと龍馬は確かに親しい関係にはあるが、岩崎よりは長くはない関係ではない。
「そじゃのぉ。この戦いは誰が見ても薩長の勝ちぜよ。おそらく、政権はその二藩がになうじゃろう。そうなれば、わしの出番はもう終わりじゃ」
 龍馬の言葉に岩崎とグラバーは頷きながら聞き入った。
「それにのぉ、わしは政治なんか興味ないきに。世界に飛び出して面白い商売をしちゅっと思ってる。その時は、弥太郎、グラバーさん、おまんらにもおいしい思いをさせちゃるけ、協力してくれんかの?」
龍馬は意味深に笑ってみせた。
「ほぉ、面白い商売ねぇ。それはどんなもんぜよ」
 岩崎は龍馬を疑い深そうに眼を細めた。
「それはまだ言えんなぁ。じゃけ、おいしい思いは出来ると思うがねー」
 龍馬は顎を撫でで笑った。
「何故言えないのです?私たちは商人です。列記とした根拠がなければ手は貸せませんよ」
 グラバーの言葉はもっともだというように岩崎は大きく頷いた。
「あぁ、まぁ、いいんぜよ。おまんらが駄目なら、別の者に協力をしてもらうだけじゃき。まぁ、まずは、米国にも持ってい
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