疾走する強者たち
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せれば、ホンダはそもそもこのバトルに出てくるような敵ではなかったのだ。要は彼は自分の技で自分の肺を傷めて自滅しただけなのだから。
そう話すと、アサヒは感服したように頷いた。
「・・・そうだったんですか。でもあの毒ガスの中を全速力で走るなんて・・・やっぱりすごいです」
「そんなことより、他のやつらはどんな感じだ?」
汗を拭いながら、受付の上にいくつか設置されたちゃちなモニターを見る。そこでは他の面子の試合が小さく写っていた。既に終わったものもあるようだ。
「やっぱり凄いのはプロアスリートのレネさんと・・・あと、昨日のあの人です」
「あいつは・・・」
二人はモニターの一つを見る。そこに映ってのはーー
「ミミロップ、メガトンキックです!」
絶対的な自信を湛えた笑顔で、自らのポケモンに命じるのは、シンオウ四天王の一人、ネビリムだった。彼女は相手の横につき、ハガネールに休み暇なく攻撃を続けさせている。それは美女の艶やかなダンスのように、見るものを惚れさせるものだ。
だが相手も圧倒的な防御力を誇るハガネールの使い手。自転車の回りをとぐろをまく蛇のように、鋼の山のように覆いながらも、走るトレーナーの邪魔をしない動きはよく訓練されたものに間違いない。相手のがっしりした、応援団長のような格好をした男がハガネールの守りごしに叫ぶ。
「いくら攻撃を仕掛けようとも無駄だ、貴様では我が風林火山の走りを止めることは出来ん」
「いままで攻撃のひとつも仕掛けて来なかったくせに風林火山とは片腹痛いですね!」
「相手が女とあっては忍びないがそういうのならば見せてやろう。疾きこと風の如し、静かなること林の如し・・・」
するとどうしたことだ、ネビリムの相手の自転車の速度が音もなくスピードアップしはじめたではないか。予想外の動きに、ネビリムは少し距離を離される。
「真の走りに音は必要ない。それはエネルギーの無駄を生む」
「今までは手加減してたんですか?この私を相手に」
「そうだ、そして侵略する事火の如しーーハガネール、高速スピンだ」
命じられるまま、ハガネールがその巨体を音もなく回転させ始めるーーレベルの制限がかかっているため滅茶苦茶な速度ではないが、大きさが大きさだけにそれは立派な脅威だ。
そして相手は自らの車体をネビリムに近づけ始める。回転する巨体がネビリムに迫る。
「くっ・・・一旦下がりますよ、ミミロップ!」
たまらずネビリムが減速し、相手から距離を取る。あんなものが直撃すればさすがにただでは済まない。
「どうだ、これが我が風林火山の走りよ。俺自身が風の
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