sts 34 「想いを胸に」
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た傷は見当たらないが、右腕を押さえているあたり体の内部にはダメージがあるのだろう。
私の……私のせいだ。
ショウが光になって空に還るアインスの姿を見るのはこれで二度目。しかもあのときとは違って自分の手で破壊した。たとえそれが彼女が望んだことだとしてもショウの心に傷が付かないはずがない。
「やあ黒衣の魔導剣士、私からのプレゼントは堪能してくれたかな?」
『……スカリエッティ』
「そんなに怖い目を向けないでくれたまえ。私が君が思う以上に小心者なのだから」
数多くの犯罪を犯しながらも長年管理局の追跡から逃れてきた者が何を言っているのだろうか。貴様によって怯えてながらいなくなってしまった人達がどれだけ居ると思っている。
そう思いつつも感情がすぐに霧散してしまい体に力は入らない。それどころか、モニターに映るショウさえ見ることができないでいる。
『ふざけるなクソ犯罪者……余裕で居られるのも今だけだぞ』
「今だけ? フフフフ……それはあれかい? フェイト・テスタロッサ執務官が私を捕縛しに来るからかな?」
『ああ』
「フフフ……フハハハハ! 黒衣の魔導剣士、残念だけどそれは叶わないよ。何故なら……すでに彼女は私の傍に居る。捕縛しに来たのに逆に捕縛されているのだから!」
スカリエッティが位置を変えたことであちらにも私の姿が映ったようで、モニター越しにショウと視線が重なる。彼の表情に驚きが走ったようにも見えたが、私はすぐさま視線を落としてしまった。スカリエッティの言葉に反応して視線を上げるべきではなかった。
『スカリエッティ……!』
「フフフ……黒衣の魔導剣士、君の強さには正直恐れ入ったよ。魔導士としての能力もだが、トラウマであるはずの彼女をあそこまで容赦なく斬り刻んで叩き斬るとはね。精神面においても実に強い……まあ敵であるならば関係ないと言わんばかりにドライなだけかもしれないが」
違う……ショウが辛いはずがない。
ショウはあまり感情を表に出そうとしないだけだ。誰かを傷つけることも誰かが傷つくことも本当は恐れている。成せなければならないこと、歩みを止められない理由があるから立ち止まりはしないだけで心は傷だらけなんだ。
スカリエッティ、お前がショウの何を知ってる。過去の出来事や生まれを知っているくらいで人を理解できると思ってるのか。
「いやはや、君がそちらに行ってくれて実に助かったよ。君がこちらに居てはフェイト・テスタロッサの心をこうも容易く折ることはできなかっただろうからね」
『貴様……フェイトに何をした』
「これといって何もしていないさ。ただ……所詮君はプロジェクトFから名前を与えられたアリシア・テスタロッサの粗末な模造品だと言っただけでね」
スカリエッティのいやらしい笑い声が妙に木霊
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