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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者
第十九話 派遣任務 5
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シグナムは、それまで身体に巻き付けていたタオルを取った。

「情けないものだな…部下からは、まだ信頼は得られぬか」

シグナムは、過去に何があったかは知らないが、できれば相談して欲しいと思っていたのだ。

そして、フッと自嘲気味の笑みを浮かべる。

「10年前の我らも、思えば人の話に耳を傾けなかったな」

遠い過去の過ちを思い出すシグナム。

「なあ、私はどうしたらいい?我々を助けてくれたお前なら、アスカに対してどう接した?」

10年前のあの日。名を名乗らず、武器も持たずに自分たちの前に立ちふさがったある魔導師の事を思い出すシグナム。

当然、それに答えてくれる人物は、ここにはいない。





シグナムが風呂から出てくると、アスカはロビーのイスに座って缶コーヒーを飲んでいた。

その隣には、温泉饅頭の箱が何段にも積み重なっている。

「どうしたんだ、これは?」

呆れ顔でシグナムが温泉饅頭を指す。

「ロングアーチやメンテナンススタッフ、バックヤードのみなさんにお土産ですよ。お菓子なら配れるでしょう?」

露天風呂の時の動揺した感じはもう無い。

完全に切り替えが出来たという事だろうが、逆に言えば、もう過去の事には触れてくれるな、と拒否の態度でもある。

「……ずいぶんと気が利くな。その気配りを訓練で出してくれれば、私も楽なのだがな」

冗談っぽくシグナムが言うと、アスカが笑った。

「それじゃシグナム副隊長の仕事が無くなっちゃいますよ。ドヤスのもお仕事でしょう」

「まったく、こいつめ」

とりあえず、関係は修復できたか、とシグナムは苦笑した。





アスカとシグナムが戻り、いよいよ帰還となった。

コテージに帰ると、後かたづけは既に終わっていた。

「あ、アスカー。それなに?」

スバルが目ざとく、アスカが購入した温泉饅頭を見つける。

「ミッドで留守番している人達のお土産だよ。食べるなよ」

スバルにそう釘を刺すアスカ。その時、ティアナの不機嫌そうな顔が見えた。

「どうしたんだよ、ティアナ。何かあったか?」

何かを考え込んでいるティアナに近づくアスカ。

「え?いや、何でもないわ。ただ、もう少し上手くできたんじゃないかなって考えていただけよ」

「任務の事か?上出来だったろ」

「でも、それこそ隊長達だったら、一瞬で終わらせていたんだと思うし」

それを聞いて、アスカは苦笑した。

「それこそおこがましいだろ。オレ達と隊長を比べるなよ」

そのアスカの言葉は、今のティアナには届かない。

そうね、と生返事だけを返すティアナ。アスカも、それ以上は突っ込まなかった。






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