第54話 師弟
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うな形相で軍曹の看護師は、常人を遥かに凌駕する速さで移動するとミサカの後ろに発生した渦の中に手を突っ込んだ。
「出てきなさい!何度言えば分かるんですか!」
時空に干渉してか、謎の発光が辺りでバチバチと迸っている。
さながらSF的な演出に麦野達から「おお〜!」と感嘆の声が漏れる。
看護師の腕が少しずつこちらの世界に戻ってくるに従って、サソリの後ろ側が引き戻されていく。
どうやら、逃げようとした所に首根っこを掴まれたらしく。
看護師の病人を思いやるパワーに呼応した二の腕がブルース?ウイリス並みに太くなり、時空間を蹴破りサソリをこちらの世界に投げ出した。
後方に三回転しながら、窓際の壁にしこたま頭を打ち付けると頭を抱えて悶絶した。
「痛ってぇぇー!嘘だろ!?」
時空間を破られたサソリは、戸惑いながら前方に立っている吐き出す息が蒸気になっている野獣のようになってしまった看護師をゆっくり見上げた。
ガシッとサソリの頭を掴むとベッドに投げ入れると、キチンと畳まれた布団が綺麗にサソリを覆った。
「寝てなさい!全く!!」
「さ、サソリ様」
ミサカがオロオロしながら、ベッドに強制的に寝かされたサソリに近づくが......
「それと貴女!出血しているみたいね。包帯の交換をするから来なさい!」
「は、はひ......とミサカは怯えながら言い......ました」
これ以上刺激すると鬼以上の何かに成ってしまう恐れがあったので部屋に居た者達が無言で顔を合わせた。
「サソリさん......」
「な、何だよ!?」
「次は容赦しませんからね」
目だけをくっきりはっきりサソリを睨み付けながら、看護師は口だけ笑みを浮かべて、不気味に笑う。
後ろに機械的に付いていくミサカを共にして、部屋から出ていく看護師の遠ざかる二人分の足音を黙って聞きながら、緊張していた麦野達が一斉に力を抜いた。
「怖っ!何あの看護師」
「......見た事ないAIM拡散力場が......」
「超ちびりそうでした......フレンダは超気絶しています」
「アイツだけは、怒らすなよ」
病院の先輩であるサソリは、麦野達に忠告した。
これまでの闘いの歴史が次々と思いだし、落ち込んだように首を垂れた。
とりあえず麦野達が確信したのは......
あの人に『彼氏』は居ない!!
という事だけだった。
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