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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第54話 師弟
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渡した。

「ん?」
キャッチしたサソリが蛍光ピンクの飲み物を訝しげに見ている。
「この前の御礼よ。ありがとうね......アンタが居なかったら全滅していたわ」
研究所でのゼツに身体を乗っ取られて、反則紛いの手段で追い詰めてきたのを思い出した。
死にたい......消えたいという負の感情に支配され、意識を奪われた麦野にとってゼツは最も憎むべき対象だった。

更に、研究所で敵対していたテレスティーナは木山の罪を軽くし、かつ謎の協力者『ゼツ』の正体の炙り出しに掛かっていた。

「あのやろう......次に会ったら必ず殺してやるわ」
麦野は静かに闘志を燃やした。悔しそうに布団を握りしめる。

「あ、ああ」
アイツの目的は一体なんだ......
オレの身体に起きている変化の謎も

「?」
一人、傾げる湾内。
頬杖を付いたまま、サソリは不機嫌そうにしている。
「ふふ......」
横目で眺めていた麦野が含笑いをしてサソリを熱っぽい目線で見据えた。
「あ?」
「気に入ったわ。サソリって言ったわね......私と突き合わないかしら?」
「えっ!?」
「!?」
麦野からの衝撃発言に湾内は思わず立ち上がり、サソリの頭を抱き締めた。
恋敵を睨み付けながら、力強く言い放った。

「ダメですわ!サソリさんは私のものです」
「お前のじゃねーよ!」
抱き着かれて、サソリはチャクラが上手く制御出来ないようで静かにもがいている。

「あら、そんなガキよりも私の方が魅力があると思うわよ」
両腕を頭の上に持ってきて、張り出した豊満なバストを強調するとサソリにウィンクした。

「うぐぐ」
自分の凹凸に乏しい身体を見下ろしながら抜群な麦野のプロポーションにジェラシーをメラメラと燃やす。
そして、サソリを片腕で抱き締めながらもう片方の指をピンと伸ばして、宣言する。
「さ、サソリさんは、幼児体型が好みですわ!」

!!!?何言ってんだー!コイツ!?

勝手に幼児嗜好にされてしまったサソリが反論しようとするが、湾内の手元に光る鋭利な箸が......
「そうですわよね!?」
箸を持ち替えて、先端をサソリに向けている。
ゾゾっ!?
サソリは、冷水を浴びせられたかのように汗を流した。

「ああ......」
これだけを言うのが精一杯だった。
サソリの生涯で初めて味わう、修羅場という経験にどうして良いのか分からずにフリーズしている。

「まあ、考えといてね」
麦野が手を振りながら、読み掛けの本を開き、読み始めた。

「サソリさん!」
サソリの顎を掴んで強引にスプーンで掬ったチーズを流し込んだ。
「あ!あっちち!?」
やたらに瘴気を帯びた上目遣いでサソリに微笑む湾内。
「残さず召し上がれですわ」
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