420部分:第五十八話 高山にてその二
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第五十八話 高山にてその二
「それがな」
「そうですか。それでは」
「誘き出しましょうか、マチュピチュに」
「そうしましょうか」
「そうだな。それがいいだろう」
サリアは彼等の言葉を受けて頷いたのだった。
「それがな」
「ではその様に致しましょう」
「あの場にまで」
「スコーピオンも愚かではない」
彼は決してミロを甘く見てはいなかった。
「そして」
「そして?」
「といいますと」
「他の聖闘士達もだ」
彼等についても言及するのだった。
「愚かではない。むしろ」
「頭は切れますか」
「強さだけではなく」
「仮にも我等と同じく神に仕える者達だ」
サリアの言う通りであった。アテナに仕えているかアーレスに仕えているかの違いはあるが、であった。神に仕えているということは変わりないのである。
「それだけの頭もあって当然のことだ」
「むしろない方がおかしいですな」
「それは」
「そういうことだ。乗ってきてもそれはおそらく承知のことだろう」
「では奇襲や罠の意味は期待できませんね」
「それは」
狂闘士達はサリアの言葉からこう判断を下したのだった。
「残念ですが」
「やはり正面から戦いそのうえで倒すしかありませんか」
「そういうことになるだろう。しかしだ」
サリアは言葉を続けていく。
「戦術は変更しない」
「インプ達を送りのですね」
「我等の指揮により」
「二重に分けて送るとするか」
サリアはしばし考えてから述べたのだった。
「ここはな」
「二重にですか」
「あの者達と我等を」
「第一波と第二波に分ける」
早速こう命じたサリアだった。
「まず第一波はだ」
「はい」
「その指揮は」
彼等はサリアの指示を受けだした。そのうえでミロ達に向かう。ミロ達は今アンデスの中を歩いていた。見渡す限り高山があるばかりである。
「何ていいますかね」
「凄い場所ですね」
シフォンとカービルが驚いた面持ちで辺りを見回しながら述べる。木々や動物といったものは遥か下であり彼等が今いる場所には何もなかった。あるのは雪と黒い岩山だけである。
「空も近いですし」
「雲がもうそこまで」
「ははは、凄いだろう」
「これがアンデスなんだよ」
ここでアクタイオンとジャッカーが二人に対して言ってきた。その顔は笑っている。
「もうな。こんな山が南米大陸の北から南にずらって続いていてな」
「凄いんだよ」
「凄いなんてものじゅないぞ」
「こんな山脈がか」
二人はそれを聞いてあらためて唖然となった。そうしてその唖然となってしまった顔でさらにアクタイオンとジャッカーに対して言うのだった。
「馬まで辛そうだしな」
「空気も薄いしな」
「ああ。馬でもギリギリって場所だからな、ここ
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