sts 33 「心の中で」
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あの日俺にはやてやシグナム達を見守ってくれと言ってくれたものと変わらない優しいものだ。しかし、それは一瞬にして悲しげなものへと変わってしまう。
「しかし……今の私は私の中にあるロストロギアによって再現された存在。消えた日までの記憶もあり、こうして話したり出来はするが……体が言うことを聞かない」
その言葉が嘘でないことを証明するかのように、アインスは今にも泣きそうな顔をしつつも槍射砲をこちらに向けると魔力弾を放ってきた。
すかさず剣を斬り捨てるが、次は接近し槍射砲で攻撃してくる。避けてばかりいては話すこともままならないと踏んだ俺はそれを受け止め競り合いに持ち込んだ。
「アインス……本当にどうにもならないのか?」
「どうにかなるのなら君に攻撃など仕掛けるものか。主や……騎士達が愛した君の事を」
「く……」
対象となった人物の記憶から特定の人物を再現する。再現された人物は自分の意思を許されているが、体の自由は利かずに戦うことを強要される。対象となった者も再現された者も苦しめられるロストロギア……あの屑は最低な物を用意してくれたものだ。
『ショウくん、どうしたんや? さっきから妙な動きで飛んでるようやけど。それにそっちに突然出現した巨大な魔力反応は何なん?』
『はやてか……どうにもあのくそったれな犯罪者に気に入られたらしくてな。余計なプレゼントを与えられただけだ』
『ちょっ大丈夫なん!? 単独で戦ってるようやけど助けに行った方が……』
『ダメだ!』
今目の前に居るのは闇の書が覚醒した時に出てきたアインス。格闘戦も魔法戦も高いレベルで行える。並みの魔導師では歯が立たないだろう。下手な増援は被害を増やすだけだ。
それに……何よりはやてをアインスと戦わせるわけにはいかない。
あの日、アインスが消えて1番悲しんだのははやてだ。会話した時間は少なくてもアインスははやてにとって大切な家族のひとり。家族と戦わせるなんて出来るはずがない。
『何でや? ショウくんが墜ちでもしたらそれこそ問題なんやで。私のこと心配してくれてるんかもしれんけど、私なら大丈夫や。どんな相手でも戦える』
大丈夫じゃない。戦えるわけがない。俺でさえこいつと剣を交えるのにこれほどの抵抗を覚えるんだ。お前がこいつと……アインスと戦えるはずがない。もし戦えたとしても自分の手で家族を葬ったとなればお前の心が……。そうなるくらいなら俺が……。
『お前がそこを抜けたら指揮系統が混乱するだろ。敵は今俺の前に居る奴だけじゃないんだ。お前は今お前に出来ることをしろ』
『それはそうやけど……何か今のショウくん少しおかしいで。私に何か隠しとらん?』
『戦闘中であまり余裕がないだけだ』
言い切るのとほぼ同時に半ば強引にアインスから押し飛ば
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