419部分:第五十八話 高山にてその一
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第五十八話 高山にてその一
高山にて
「ではいよいよか」
「はい」
「動きました」
そこは見渡す限りの山々であった。何処までも連なる高い山のそのうちの一つに彼等はいた。そこから禍々しい赤い小宇宙を放ちながら話をしていた。
「そのうえで向かって来ています」
「マチュパチュに」
「わかった」
彼等の中心には彼がいた。そのサタナキアのサリアが。禍々しい赤い戦衣をその身にまとったうえで彼と同じ様に赤い鮮血の色の戦衣に身を包む彼等の話を聞いているのだった。
「ではすぐに仕掛けよう」
「マチュパチュには行かせないのですね」
「その前に」
「倒せればそれでいい」
サリアもそれでいいと言うのであった。
「しかしだ。黄金聖闘士もいる」
「来ているのはスコーピオンです」
「あの者が来ております」
「これまでの戦いで彼等の実力はわかっている」
サリアは冷静に述べた。
「我等八大公に間違いなく匹敵するものだ」
「それではまさか」
「サリア様御自身が」
「いきなり出向くのも面白いが今は止めておこう」
それはしないというサリアであった。
「それはな」
「お止めになられるのですか」
「それは何故でしょうか」
「御前達に任せたい」
彼等を見回してそのうえでの言葉であった。
「御前達にな」
「といいますと」
「我等にスコーピオンの首を挙げる栄誉を与えて下さるのですか」
「そうだ」
悠然とした笑みを浮かべてみせての言葉であった。
「インプ達を率いてそのうえで向かうがいい」
「はっ、わかりました」
「それでは」
九人の狂闘士達は彼のその言葉にすぐに喜びの言葉で応えたのであった。そうしてそのうえでさらにサリアに対して言うのであった。
「すぐに七人の聖闘士達の首を持って参ります」
「とりわけスコーピオンの首を」
「期待している。しかしだ」
だがここでサリアはこうも言うのであった。
「無理はするな」
「無理はですか」
「そうだ。それはするな」
再び彼等に告げるのであった。
「マチュパチュにまで誘き寄せてもいいのだからな」
「そこにまでですか」
「我等の今の拠点に」
「そうだ。スコーピオンを誘き出してもいい」
サリアの言葉は続く。
「だからだ。今は無理はせずともいい」
「誘い込むのも作戦のうちですか」
「今は」
「そういうことだ。わかったな」
あらためて彼に告げる。
「今は無理をする必要はない。それにだ」
「それに?」
「今度は」
「どうやらマチュピチュで戦った方がいいようだ」
こんなことも言うのであった。
「どうやらな」
「あの場でですか」
「戦うのは」
「戦うことそのものがまずいいのだが」
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