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おぢばにおかえり
第三十六話 お墓地その十

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「何かとお調子者で」
「じゃあ紳士になりますね」
「なるべきね、ただ」
「ただ?」
「勇んでるわね」 
 このことははっきりと言いました。
「おみちに」
「あっ、そうですか」
「ええ、そのことは事実ね」 
 まさか高校入学して何度もお墓地にお参りして回廊ひのきしんもしてです、休日もおぢばに帰っているしです。
「いい用木になれるかもね」
「じゃあなりますね」
「目指してね。おみちにいたらいい人に一杯出会えるから」
 もうそれこそ何かあればです。
「勇んでいってね」
「そうさせてもらいます」
「それでだけれど」
 私は阿波野君にあらためて言いました、階段を織りきったところで。
「今度は真柱様とね」
「本席さん、上田ナライトさんのお墓にですね」
「行くわよ」
 勿論お参りにです。
「いいわね」
「わかりました、それじゃあ行きましょう」
 阿波野君も頷いてくれてでした、そのうえで。
 私達は今度は歴代の真柱様と本席さん、上田ナライトさんのお墓にお参りしました。お墓は細長い場所に横一列に並んでいますが。
 私達は一番奥、入ったところから見てそこにある真之亮さんのお墓からお参りしましたが。
 阿波野君は私と一緒に全部のお墓に手を合わせてから私にこんなことを言いました。
「こうしてお参りしますと」
「どうしたの?」
「心が澄み切った感じになりますね、一瞬ですけれど」
「一瞬なのね」
「はい、心ってすぐに濁ってしまいますね」
「というかほこりが積もるのよ」
 阿波野君にこう答えました、私達は今度は歴代の大教会長さんのお墓に向かいましたがその途中でのお話です。
「すぐにね」
「それこそですね」
「そう、油断してたら」
 ちょっとそうしていたらです。
「ほこりが積もるから」
「いつも気をつけてですね」
「ほこりを払わないといけないのよ」
「つまりいいことをしなさいってことですね」
「簡単に言えばね」
 どの宗教でも同じだと思います、こうした教えがあることは。
「そうよ、だから今日はひのきしんさせてもらって参拝もお墓地もお参りしているけれど」
「それで安心しない」
「毎日が大事なのよ」
 それこそとです、阿波野君にお話しました。
「私もだけれどね」
「先輩もですね」
「そう、偉そうに言ってるけれど」
 それでもです。
「私もなのよ」
「誰でもですね」
「そうよ」
 このことは自覚しています、少なくともそのつもりです。
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