第二十八話 長崎での生活その十四
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「ホテルもう予約取ってる?」
「シティホテルにって考えてるけれど」
「それじゃお部屋に来て」
「貴女の?」
「そう、お布団も二つあるし」
だからだというのだ。
「実は療養所の副所長さんに一つ余分に貰ったの」
「そうだったの」
「姉さんが泊まるのならって」
「あら、察してたのね」
「そうみたいね」
「じゃあ貴女のお部屋に泊まっていいかしら」
「是非来て」
これが優花の返事だった。
「私待ってるから」
「それじゃあね」
「そう、連休の時になの」
「私は連休の時でね」
「龍馬も」
「龍馬君も時間を見付けて来るっていうから」
だからだというのだ。
「待っていてね」
「わかったわ、龍馬のこともね」
「楽しみにしていてね」
「そうしているわね」
「長崎も楽しみだし」
それにとだ、優子は携帯で妹に言いながら笑顔になった。それも満面の。
「今の貴女に会うのもね」
「楽しみなのね」
「凄くね、じゃあね」
「ええ、来てね長崎」
「絶対にね」
「駅で待ってるから」
優花は迎えに来るとも告げた。
「赤いシャツ着てるから」
「それが目印ね」
「スカートは淡いピンクのね」
「ふわりとしたミニの」
「どっちも姉さんが送ってくれた服だけれど」
「着てるのね」
「そうしてるの」
優子は優花に女ものの服を何着か送ったのだ、当然彼女が女になるのでその時のことをよく考えてのことだ。
「だからね」
「その服を着た娘が貴女ね」
「今の私の写真も送ってるけれど」
携帯の画像でだ。
「実際に女の子の私と会うのははじめてだから」
「その服が目印ね」
「それで見付けてね」
「わかったわ」
笑顔のまま応えた優子だった、そして妹とのやり取りの後でだ。
ブランデー、とっておきのナポレオンを開いてロックで飲んだ。それは優花との再開の前祝いだった。
優花もカレンダーを見て連休の日を確かめてだった、にこりとなって言った。
「姉さんと久し振りに」
笑顔で言う、そしてその日を楽しみに待つのだった。
第二十八話 完
2016・7・5
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