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先恋
先恋〜両想い〜
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今、この瞬間、人生で初めてのキスをした。

相手は生徒…、私の好きな人。



「春…先………君……」
沙奈が陸太の名前を呼ぶと、陸太は慌てた様子で沙奈から急いで離れた。
「すっ、すみません??失礼な事を…っ!」
「い、いや、って言うか…何で…キス…」
陸太は顔を赤らめ、口を開いた。

「だって…両想いだったなんて…そんな…」


沙奈は驚き、目を見開いた。

両想い…?私と春先君が?嘘?本当に?
「両…想い…?」
「…はい、その…もし、気を悪くするような事があったら…すみません、」
陸太はそう言い、少し俯き、何かを決心した様な瞳で、沙奈を見つめた。
「僕は…その…先生…を…」
「……………?」
「…先生を僕だけのモノにしたり、ただ無理矢理にでも抱き締めたり、キス…したり…そういう事を…したいと、そんな事を思うように…いつの間にかなっていて…」
沙奈は何と言えば良いか分からず、ただ黙っていた。だが、その取り方によっては束縛と思える言葉は、嫌では無かった。
「…そっか…うん、ありがと、ちゃんと言ってくれて…両想いなら、安心した」
沙奈が陸太に笑いかける。陸太も安心した様に笑った。
「…でも、ね、春先君…」
「…?」
「私と貴方の関係じゃ…やっぱり…」
沙奈はそう言い、陸太の目を見つめた。陸太は小さく、「…あ、」と声を漏らし、そのまま黙り込んでしまった。


ーーーー…こんな事なら…やっぱり両想いだったなんて知らない方が良かったのかも知れない…何で伝えたりなんかしたんだろう?このまま前以上に話せなくなって……お互いに避けて、避けて、避けて……そんなの…嫌なのに…


心の中には不安しか無かった。これからどうなるのか、きっと自分からは気まずく感じ、避けてしまう。それではいけないと分かっていても、きっとさけてしまう。自分から関係を崩すものだ。どうすれば良いのかなんて、考えても、考えても出て来ない。

「…瑞木先生、」

「…ん?」

「…僕、どんな罪も背負います。貴方がいるなら、背負って…背負い切ってみせます。」

「…春先君…」

「…だから…だからっ!せめてでも、僕の想いを受け取って下さい!そして、僕が誰より貴方を愛している事を、感じて下さい!」
陸太の真剣な目に、沙奈は鼓動を速まらせた。真剣な目、真剣な言葉…これ程に気持ちを伝えてくれる人がどれ程居るものか?自分はこんな人間に出会った事などない。胸を熱く…高鳴らせるその瞳は、言葉は、もう、沙奈の心だけでなく、身体をも、全てを包み込み、もう離さないとでもいうかの様に、沙奈の中へ広がっていった。

「…うん、」
沙奈は小さく頷いた。

「…私も…背負うよ、罪を…」
「先生…」
「…だから、私を…愛してくれる?
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