EPISODE05勇者W
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り。セシリーとアリアの両者を見やる。
「ガイ、見せてくれないか?」
IDアーマーの所持が許されるのは「競り」までの間だから、まあいいか。
セシリーのお願いに、凱はこくりと頷いた。
左手に獅子を模した籠手「ガオーブレス」を装着し、先ほどのアリアと同じように、みんなと距離を取る。
「イィィィィクイィィィィップ!!」
展開された黄金の素粒子ははっきりとした形を成し、凱の四肢へ装着されていく。眩い光がみんなの視界を釘づけし、虜にさせる。
ウィルナイフ搭載の右腕甲が、Gパワー秘めたる左腕甲が、腰部を護るスカートが、胸囲を護るプレートが、そして、黄金の鎧最大の特徴である頭部保護用装甲「ホーンクラウン」が、各部情報を表示する多機能モニター「サイバースコープ」が展開される。
「ふう」
IDアーマー装着後、凱は少し疲れたような溜息を吐いた。
サイボーグ時代からそうなのだが、実は「イークイップ」すると、凱の身体は過負荷状態となる。その為、都市内を警邏する時はなるべくイークイップ状態を解いている場合が多い。
凱のイークイップ移行時に伴う余波で、周囲の草木がざわめいていく。当然凱の近くにいたセシリー達も、強烈な風でのけぞりそうになる。解放されたエネルギーはやがて天空へ昇華していく。
予備知識のあるセシリーとアリアは少々驚く程度で済んだ。一方、何も知らないルークとリサだけは、この黄金なりし鎧に目が釘づけになっていた。
「おい、!一体何なんだ!?その鎧は!? 」
「スゴイデス!キンピカデス!眩しすぎて……メガクラミマス!」
「実はこれ、ただの鎧じゃないんだ。昼飯のお礼に少しだけ見せてやるぜ」
「ガイ、ただの鎧ではないって、どういうことだ?」
「まぁ、見てなって」
そう言うと、凱は右腕を空高く掲げた。やがて右腕に螺旋の渦が巻き付いていく。アリアの風とは違う、根本的な破壊の力を秘めた風だ。そう。まるで銃弾―マグナムのような風だ。
―再生を止める破壊の力―を宿したその右腕は、かの人々はこう呼ぶ。
「ブロウクン……マグナァァァム!」
ブレア火山を指さすように、照準がはるか頂に定めていく。発射された赤熱の銃弾は、火山灰を振り払い、頂上の分厚い雲に穴をあけていく。
凱が意図的にブレア火山に向けて照射したのかは定かではない。ただ、ブロウクンマグナムが向けた矛先に、アリアは無意識にひたすら目を追っていた。全員、そんなアリアの様子に気づくはずはなく――
「ぶろうくん……まぐ……なむ?」
セシリーが、その名を深く噛み締めて。
「ルーク、今のって!?」
「ああ、祈祷契約でも、先ほどの魔剣の風のような力でもないな」
そして凱がみんなの方へ振り
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