EPISODE05勇者W
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果てない憎しみを抱いて唱えるがいい。
風は憎悪を運び、「神」に真実を告げ――
炎は憎悪を灯らせ、「王」の結末をもたらし――
大地は「獣」の頭に憎悪の冠を授け――
光は憎悪を与え、ひたすら「魔王」を射てと咆哮し――
――神を……コロセ――と!
神に我等人間の意志を思い知らせてやれ!
そして……
代理契約戦争終結より44年。
いつしかこの大陸には、生命が溢れ、人が溢れ、物が溢れ、オアシスを失っていた。
帝国。
群集列国。
軍国。
独立交易都市。
偽りの平和を営む三国一都市の裏側で、人間の想像を絶する史上最大の難敵が、活動を開始した。
火山に居座る『神』はこうも囁く。
――心弱き者どもよ、契約せよ。さすれば我が力を授けようぞ――
T
独立交易都市ハウスマン。大陸にある3国1都市の内の一つであり、治安の成り立ちも他の3国に比べてかなり独特な形で成り立っている。現在自衛騎士団は7団に分けて治安維持に努めており、管轄する町の市民警備、巡回にあたっている。
貴族、市民問わず、志願意志さえあれば誰でも登用が可能らしい。そのあたりは、独立交易都市らしい独自の自衛形態と言えよう。
交易都市を指導する人間も必要となり、当然、選出する方法も独自の採用を取っている。
圧倒的多数で選出されたヒューゴー=ハウスマン(襲名)はその独立交易都市を導くリーダーとして、日々の激務に励んでいた。
3番街自衛騎士団。そんな彼が最も関わり深い騎士団の中、一人気になる団員がいる。
その名は獅子王凱。
先日の模擬戦とも、あのハンニバル団長と互角に渡り合う等、常識を一脱した力を秘めている。
だが、彼には一つ悩みの種の可能性を、ヒューゴーはちょっと警戒していた。
確かに彼は、人柄はいいと思う。新入り団員なのに、すぐに打ち解けてしまう。
だが、行動力はかなりの破天荒だ。
セシリーもそんな彼の真似をしなければいいが……と、時折思ってしまう。
そんな彼が、いまここヒューゴーとハンニバル団長が待ち受ける市長室に足を運んでいる最中だった。
そう思っていると、ドアからコンコンと音が鳴る。多分彼だろう。
「急に呼び出したりして申し訳ありません」
傍らに、セシリーもいた。
「いえ、大丈夫です。それより俺とセシリーに依頼って」
「実はあなた方に護衛を依頼したいのです」
「「依頼?」」
凱とセシリーは互いに顔を見合わせた。
今、独立交易都市は、三か月に一度の祭り「市」が開催される時期である。ここにとって、市は大切な収入源なのだから、都市全体で盛り上げなくてはいけないとの
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