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茂った木々に星の輝きを遮られ、森の中はあたり一面が闇だった。城で暮らしている時には見たこともなかった濃い闇だ。
ドロドロと迫ってくるような恐怖があった。もしも振り返ったら闇に飲み込まれる。闇の正体を見てしまったら、僕たちは闇に捕まえられてしまう。
僕はそんな想像をしてしまい、必死に暗闇を進んだ。
アルタイルはいつもよりずっときつく、痛いほどの強さで僕の手を握っていた。その手のひらからは僕と同じような緊張が伝わってきた。
森の中に響くのは、僕たちの落ち葉を踏む音と荒い息遣いだけ。
駆け出しそうな速度でひたすら前に進むうちに、時間の感覚がなくなり、方向感覚すら怪しくなって、僕は不安と恐怖でアルタイルにしがみつきたい欲求に駆られた。
だけとそうする直前、僕たちを捕らえようとしていた闇は急に薄れた。
森を抜けて川に突き当たったんだ。
水の音が足元で賑やかにせせらぎ、突き抜けた空には満天の星空。白い靄のような天の川にあたりは薄輝いて見えた。僕たちは心底ホッとしたものだった。
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