緑色の烈風
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姿勢には一切の緊張がない。
そして対戦相手の方は――いかにも暴走族してますという感じの、茶髪のモヒカンヘッドの男だった。というか、アサヒはその人物のことを知っている。
「あ、あいつは……!」
「なんだ、知ってんのか?」
「知ってんのか?じゃないですよ!昨日の暴走族のボスですよあいつ……!」
きっ、と相手を睨むアサヒ。エメラルドはふーん、とどうでもよさそうにしている。
向こうは向こうでエメラルドのことに気付いたらしく、いきなり大股でどんどんと詰め寄ってきた。180pはあろうかという巨体で、エメラルドのことを見下ろす。
「おいクソガキ、昨日はよくも舐めた真似してくれやがったな?今すぐここでぶちのめしてえところだが、こうなった以上大会で昨日のケジメはきっちりつけさせてもらうぜ!」
メンチを切る暴走族のボスに対して、エメラルドは右手をひらひらと振った。
「あ?うるせえなあ。俺はお前のことなんて知らねーよ、通行人A」
「てめっ……ぶっ潰してやる!」
「はいそこ、喧嘩は後にしてくださいねー」
司会者に止められ、渋々と引き下がるボス――ホンダ。腸は煮えくり返っているが、そのうっぷんを大会で晴らすつもりなのだろう。
「それでは一回戦ですしパパッと進めてしまいましょう!一回戦のルールは1対1、走行距離は3q!二人は速やかにスタート地点についてください!」
(……一回戦、ねえ)
何か引っかかるものを感じるが、今はどうでもいい。目の前のバトルに集中するだけだ。
「じゃ、行ってくるぜ」
「はい!頑張ってください、エメラルドさん!」
アサヒに軽く手を振り、エメラルドは自転車を押してスタート地点まで向かう。ホンダもエメラルドを睨みながら同じ場所に向かった。
スタート地点につき、愛用のマッハ自転車に跨る。その機体は使いこまれていながらもピカピカだ。対するホンダの自転車は、紫色の煤のようなもので汚れている。ドガースの毒ガスが染みついているのだろう。
「潰す……てめえのせいで俺たち死亜悶怒ダイアモンドは一人しかこの大会に出れなくなっちまったんだぞコラ!」
「なんだよその名前、俺が知るかっつの。てかどうせ巻き上げた金だろそれ」
「その舐めた口、二度と聞けなくしてやるぜ……」
はっきり言ってエメラルドにとってホンダは眼中にない。その為適当にあしらっている。
「さあ、それでは張り切っていってみましょう。3・2・1……」
どうやらこのサイクリングバトル、開始の際にはトレーナーはある言葉を言って始めるのが暗黙の了解らしい。それをエメラルドとホンダは大きく叫んだ。
「「サイクリングバトル、アクセル・スタ
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