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音速伝説 エメラルド
緑色の烈風
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攻撃範囲で押し切ることだ。だが技の威力に制限がかかる以上、それは難しいだろう

「ええ、ですけど……エメラルドさんなら、きっといいところまで行けると思いますよ」
「はっ、いいところつったら優勝しかねえよ。……んじゃちょっくら走ってくるか」
「もう行くんですか?」
「ああ、大会で走るとなりゃもうちょいルートを把握する必要があんだろ。――一緒に来るか?」
「はい、喜んで!」

 アサヒはこの短い間にすっかりエメラルドの畏敬の念のようなものを覚えていた。恩人であるということもあったし、傍若無人な中に人を惹き込むカリスマのようなものを感じるのだ。

 二人は大会のためにサイクリングロードへ再び向かう。一方そのころ、メガストーンを狙う組織の魔の手も忍び寄っていった――実に堂々と。

「ふふーん、ここがホウエンのサイクリングロードですか!シンオウのに比べてばなんと不格好なことでしょう!こんな暑苦しい場所で暑苦しいレースだなんてまったくホウエンの人間の考えはわかりませんね!パ……博士の命令なんでやりますけど!」

 そうサイクリングロードの中央で騒々しく走っているのは、ホウエンとは違う地方――シンオウの四天王の一人、ネビリムという少女だった。薄紫の長髪をストレートにしているけど少し前髪が動物の耳のようにぴょこんとはみ出ていて、スポーティーな半袖シャツに小豆色のロングパンツを履いている。ちなみに、愚痴を言っているかのような口ぶりだが自転車を漕ぐその姿は楽しそうだ。

「ぶっちゃけ大会とか出ずに直接奪えと言われるかもしれませんが、そうは問屋が下ろしません!大会に勝てば手に入るのなら、優勝して堂々と手に入れればいいのです!その方が我々ティヴィル団の存在が目立ちますしね!」

 悪の組織が目立つのはどうなのか、という意見はあるかもしれないが、彼女たちには彼女の理由があるのだった。その理由とは――

「――それが、四天王でありアイドルであり宇宙一強くて可愛くてお料理お裁縫もすごく上手い私の美学!こそ泥じみた行為なんて私には似合わないんですよ!」

 ……というわけだった。そんな風に一人で勝手に盛り上がる彼女を、サイクリングロードに戻ってきたエメラルドは白い目で見る。

「……誰だっけ、あのバカ女?」
「あれってもしかして……ネビリムさんじゃ?」

 そうアサヒとエメラルドが自転車を漕ぎながら話すと、自分の名前を呼ばれたことに気付いたのかネビリムは猛スピードでこちらに走ってきた。

「私の名前を呼びましたね!盗撮はNGですが、言ってくれればサインくらいしてあげますよ!」
「うわっ、こっち来やがった!」
「あわわ……その、ネビリムさんもこの大会に出るんですか?」

 有名人に話しかけら
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