緑色の烈風
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必要はない。相手の攻撃を躱し、防ぎながら迅速にゴールを目指すこともまた戦略となる。
(逆もまた然り。相手の走行をいかに妨害するかも重要な点。……すなわちこれはポケモン同士だけではなく、トレーナーもバトルに参加しているようなものだ)
そのため、前述の通りサイクリングバトルの際にはポケモンの能力にリミッターがつけられる。今回の場合はレベル5以上の力が出ないように調整されるらしい。とはいえそれでも攻撃を受け過ぎれば怪我もするし、自転車が壊れることもあり得る。全く危険がないというわけではないのだ。
(そして、サイクリングバトルとスポーツとして成立させるためのルール。トレーナーとその手持ちは、半径5メートル以上離れてはいけない)
この制限がないと、いかにトレーナーの両者の距離が離れていてもポケモンが好き勝手に攻撃出来てしまい、何のためにレースの形式をとっているかわからない。バトルを成立させるために必要なルールだ。
(そしてもう一つ。主にエスパータイプの技を使う場合に言えることだが、ポケモンの技で直接人間や自転車を操ってはならない)
これもまた同様、例えば念力で相手を浮かせてしまって自転車を動かせなくなってしまうとレースとしての意味がなくなってしまう。
(だが逆に言えば、それ以外の制限はない。そう――どんな技であれ、人間に使うことが出来る。このように)
「サンダース、電磁波」
傍らを走るサンダースに電磁波を撃たせる。対象は――レネ自身だ。レネの足に電磁波が走り、一瞬ピリッとした痛みが走り、その端正な顔を歪める。
だがそれは自らに痛みを課すトレーニングの類ではない。適度な電磁波がレネの筋肉を刺激し、より速いスピードでレネは自転車を駆る。
(このように、ポケモンの技を自分に使って速度を上げることも出来る。ポケモンの技で攻撃、防御、そしてトレーナーの補助……これらをいかに行っていくかが勝利の鍵を握る。だが――)
そして何より、重要な点がある。
(一番重要なのは、トレーナーの走り。走る意思の弱いトレーナーにはいかなるチャンスも与えられない)
いかにポケモンが強かろうと、どんなテクニックを有していようと、トレーナーにバトルをしながら走る技術、体力、精神力がなければこのバトルでは勝てない。
(そんな大会で、私は勝つ。そしてもっとこのバトルを世に広めてみせる)
冷静な思考の中に熱い情熱を燃やし、レネは自転車をさらに速く漕ぐのだった。
「なるほどねぇ……ポケモンの力にセーブがかかるってのはネックだな」
説明を聞き終えたエメラルドは、少し難しい顔をしていた。彼のバトルスタイルは先ほどのように、圧倒的な攻撃力とその
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