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音速伝説 エメラルド
緑色の烈風
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メラルドと名乗った彼は自慢げに言った。被害者の少年、アサヒは彼のポケモンについて聞く。

「それにしても凄かったですねあなたのポケモン……メタングとラグラージでしたっけ。僕、メガシンカを直接見たのは初めてです」
「当然だろ、俺様に仕えるポケモンたちだぜ?」

 エメラルドという少年は、とても傍若無人で尊大不遜のようだった。エメラルドは13歳で140pほど、アサヒは15歳で背丈も彼より高いのだが、そんなことは気に止めた様子もない。

「あの……今まで見たことなかったと思うんですけど、サイクリングロードに来るのは初めてでしたか?」

 アサヒはよくサイクリングロードを走っていて、そこを走る人間やポケモンのことを観察していたりもするのだが、彼を見たことはなかった。

「ああ。思いっきり飛ばせる場所だって聞いたから何分で走り抜けられるか挑戦してみたんだが、あいつらが邪魔してやがるからさ。ったく、俺様の道塞いでんじゃねーっつの」
「何分って……普通どんなに急いでも三時間はかかりますよ!?」
「まあ、思ったより時間はかかったな。……95分くらいか?」
「もしかして……カイナシティからずっと全力疾走で?」

 おう、と頷くエメラルド。彼は確かに汗こそかいているが、消耗しきっているようには見えなかった。慣れていない道を走るのなら普通神経も使うだろうに無茶苦茶な体力と根性してるな、とアサヒは思った。思って――ふとあることを思いつく。

「そうだ、エメラルドさん。明日からこのサイクリングロードで大会があるんですけど、良かったら出てみませんか?エメラルドさんなら、きっと結果が残せると思うんです」

 アサヒはバッグから一枚のチラシを取り出す。それを見たエメラルドはあまり興味なさそうに読み上げた。

「……サイクリングバトル?」
「ええ、最近このサイクリングロードで始まった新しいバトルのスタイルです。僕は怖いんでやったことないんですけど、見ているととってもドキドキハラハラして……なんて言うんでしょう。新しいポケモンバトルの可能性を感じるんです」
「へえ……つっても旅もあるしなあ」

 目を輝かせながら言うアサヒに対してやはりあまり気乗りしない様子のエメラルドだったが、チラシを眺める緑色の瞳がある一点で止まる。そこには、優勝賞品について書かれていた。

「メガストーンか」
「そうなんです!メガシンカを使えるエメラルドさんなら興味あるかなと思って……出てみませんか?」

 エメラルドは考える。今この地方では、メガストーンを集めるティヴィル団という連中が暗躍している。彼らがこの大会に目をつける可能性を考えれば、出る価値はあるだろう。

「よし、わかった!俺様が優勝をかっさらってやるぜ
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