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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第六十三話 こういう時こそ人材収集です!
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、次の瞬間思いがけない言葉が投げかけられた。
「無用じゃ。」
「は!?」
「無用だと言ったのじゃ。双方を処断すれば、次は国務尚書、卿が狙われよう。ブラウンシュヴァイク、リッテンハイム、双方の者どもからな・・・。」
「そのようなことはとうに覚悟いたしております。」
フリードリヒ4世はじっと国務尚書の老いた顔を眺めていた。
「そうか。そちの忠誠は喜納するにふさわしいものだの。」
リヒテンラーデ侯爵は深々と頭を下げた。だが、頭上に振ってきた言葉はこれだけでは済まなかった。
「だが、余は思うのだ。ゴールデンバウム王朝の命数など、実は党に尽きておるのではないか、とな。」
「へ、陛下!?」
思わず顔を上げたリヒテンラーデ侯爵に、
「余が思うに、帝国はその命数を使い果たしておる。死ぬべき病人を今やようやく生きながらえさせておるのは、一握りの人間の矜持と特権意識ではないかな。いや、大多数の平民の無気力の上に立っているからではないかとも思うのじゃ。じゃが、いたるところで末期症状が出ておるようじゃな。ブラウンシュヴァイクやリッテンハイムの内乱など、その一つにすぎぬ。」
この皇帝陛下は時として思いがけない発言をする傾向にある。若いころは放蕩にあけくれ、即位してからもこれと言って実績を残さず、ただ30余年という長い在位期間だけが衆目の注目を集めていた。
だが、とリヒテンラーデ侯爵は思う。この「何もしない。」ということこそが、実はフリードリヒ4世の大いなる韜晦術であり、自身がなしうる帝国経営の最善の策だったのではないか、と。本来は聡明な君主であるが、それを「そうせい。」を連発することで韜晦し続け、自身を生きながらえさせていると同時に帝国をようやく生きながらえさせているのではないか、と。そう思ったのは、理由がある。下手に皇帝陛下が色気を出して改革を行い、保守派から恨みを買って暗殺され、かつ、改革のせいで国家体制が揺らいだという事例は過去に何度もあったのである。
「こ、皇帝陛下、国務尚書に至急のお知らせが!!!」
けたたましい声が黒真珠の沈思した空気を突き破った。侍従の一人が転がるようにして御前に平伏して、急を告げた。
「騒々しいぞ、陛下の御前である!!」
国務尚書がしかりつけたが、急が急である。直ちに、使者を呼び寄せた。本来であれば、国務尚書が取り次ぐのだが、めったに慌てない侍従の動揺ぶりは抜き差しならない事態が発生したことを示していた。
「何事か!?」
「は、はっ!!本日未明より、リッテンハイム侯が帝都オーディンを離れられました。軍港の警戒網を突破し、同調する貴族諸侯を引き連れた模様でございます。」
「なに!?」
リヒテンラーデ侯爵の顔色が変わる。だが、フリードリヒ4世の顔色は全く変わらない。
「して、候の行き先は分るか!?」
「リッテン
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