sts 32 「崩れ落ちる雷光」
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伝えたが……正直なところ、大して興味など持っていないのだよ」
「何? なら……」
「ただし……彼はFの遺産である君やもうひとりの少年と繋がりを持っていた。特に君は彼との繋がりをとても重要視しているようだったからね。それに君は自分よりも他人のことに対しての方が感情が揺さぶられる。だから私は彼に対してあのロストロギアを使うことを思いついた……彼は君との繋がりがあったから今ああして彼女と剣を交えているのだよ」
つまり私が……私が居たから……私がショウと親しくしていたからショウは今苦しんでいるということなの。
スカリエッティが言ったことがどこまで本当なのか分からない。全て違うかもしれない。だけど……全て本当という可能性もないとは言えない。
私が……私がアリシアのクローンだったからショウが苦しむことになったの? 私がアリシアのクローンではなく普通に生まれてきて出会っていたなら今ショウが苦しむことはなかったんだよね。
ショウのことは私が守る。
そんなことを小さい頃に私は口にした。だけど守れたことなんてないに等しい……それどころか、私の方がいつも守られていた気がする。ショウが居なければ私の心は砕けていたかもしれないのだから。
それどころか……魔導士としての力も昔は私の方が上だったのに今では大差はないだろう。もしかすると私の方が劣っているかもしれない。だとすれば……私は彼にとってお荷物でしかないのではないか。
「フフフフ、理解したようだね。そうだよ、君が居たから彼は今苦しんでいるだ。君がいなければ……いや君が彼と出会っていなければ、今彼が苦しむことはなかったのだよ」
「ち……ちが……わ、私は」
「現実から目を背けるのかい? まあ私は別にそれで構わないがね。君が現実から目を背けようが背けないが、君の存在によって彼が苦しんでいるという事実は変わらない。……フェイト・テスタロッサ、君は彼にとって邪魔な存在でしかない。所詮はアリシア・テスタロッサという人間の模造品でしかないのだから」
胸に強烈な痛みが走ったかと思うと、何かが砕けて零れ落ちていくような感覚に襲われる。それはまるで過去に母さんから見捨てられたときのような自分という存在を保っていられない状態。先ほどまでスカリエッティに感じていた怒りさえも消え失せ、ただ私はその場に力なく座り込むことしかできない。
私は…………私は……。
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