sts 32 「崩れ落ちる雷光」
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顔を歪ませながら防戦一方にならないはずだ。あそこまで感情を表に出して自分から攻撃しないのはあれがアインスであるということ……
「スカリエッティ、何をした!」
「フフフ……先ほどよりも冷静さを失った声だ。実の母親の話以上に精神が揺らぐとは……フェイト・テスタロッサ、やはり君にとって彼は大きな存在だったようだね」
「黙れ、ショウに何をした! 何でアインスがあそこに居るんだ!」
ショウ達に私の声は届いていないようだが、エリオ達の方には聞こえているらしく、激昂する私にエリオ達が何か言っている。しかし、今の私にエリオ達の声は全くといっていいほど聞こえていない。
「そうカッカしなくとも教えてあげるさ。結論から言えば、あそこに居る彼女は偽物さ……まあ本物でもあるのだがね」
「どういう意味だ?」
「フフフ……ロストロギア《ペインメモリアル》。元々は訓練用に使用者の記憶から敵を再現する物だったらしいが、いつの時代にかその特性が変わってしまってね。対象になった人物の記憶から最も強く、それでいて精神的に負荷の掛かる相手を選んで再現する。その再現度は本物に等しいほどでね、記憶も本人と変わらないのさ。まあ言ってしまえば、最も強いトラウマの相手と戦わせるロストロギアなのさ」
「なっ…………」
あのアインスはロストロギアが作り出した幻影……だけど私達の知るアインスの記憶があるということ。
モニターを見る限り、アインスの表情は悲しげで私やショウが戦った時よりも感情がより表に出ている。ショウに対してあれほどの感情が出るということは、あのアインスはあの日空に還る直前までの記憶を持っているのだろう。
ただ姿を再現されたアインスなら抵抗はあっても戦える。意思を封じられて戦っているのならば、解放してあげるために戦える。でも……体は勝手に動くけど意思を封じられているわけじゃないとしたら。
アインスははやてにとって大事な人のひとりであり、はやてはショウにとって大切に想っている人間のひとりだ。ショウは闇の書事件の時も崩壊を止めるためやはやてを救うために戦ったけど、剣を振るうことに抵抗を感じていたように思える。
またアインスもショウを傷つけたいとは思っていないだろう。何故ならアインスははやて達を大切に想っていたし、そのはやて達にとってショウは大切な人間だったのだから。
「スカリエッティ……貴様ぁぁッ!」
「フフフ、実に……実に良い反応だよ。用意した甲斐があったというものだよ」
「黙れ!」
今すぐ奴の口を閉じてやろうと切り札を切ろうとした矢先、スカリエッティは憎たらしい笑みを浮かべながら私を絶望へ落とす言葉を紡ぎ始める。
「黙れ? 先ほど言っただろう、これは君のために用意したものだと。私はね、先ほど彼に興味を持っているといったことを
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