sts 32 「崩れ落ちる雷光」
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込まれて地面へと落下する。落下した衝撃で目を閉じてる間に無数の紅い糸によって取り囲まれ完全に身動きが取れなくなってしまった。
「君のその性格は実に母親譲りだよ、フェイト・テスタロッサ」
「…………」
「……以前トーレが伝えたかい? 私と君は親子のようなものだと。君の母親プレシア・テスタロッサは実に優秀な魔導士だった。私が原案のクローニング技術を見事に完成させたのだから……だが肝心の君は彼女にとって失敗作だった。蘇らせたかった実の娘アリシアとは似ても似つかない……粗悪な模造品だったのだから」
確かに……姉であるアリシアとは容姿は似ていても利き腕や性格は違う。だけど……!
「フフフ……ずいぶんとイラついているようだね。だがこれは事実だろう? 何故なら君にはまともな名前が与えられなかった。プロジェクトの名前をそのまま与えられたのだから……記憶転写型クローン技術プロジェクトフェイト。それが……君の名前の由来だろう?」
……そうだ。私の名前は母さんがきちんと考えて付けてくれたものじゃない。アリシアの代わりとして生み出されたのにアリシアじゃなかった。最初は優しく接してくれた母さんも次第に私がアリシアとは違うと分かって冷たくなっていった。
母さんはリニスを使い魔に変えて……私を魔導師として育てることにした。私はアリシアと違って魔法の資質に恵まれていたから。アリシアを生き返らせるための手段を見つけるために必要だったから。
…………私はアリシアじゃない。アリシアの記憶を持ってはいるけど、アリシアにはなれなかった。スカリエッティの言うとおり、私はアリシアの模造品なのかもしれない。
でも……私はアリシアじゃない。アリシアの失敗作なんかじゃない。私は私なんだって言ってくれた人が居る。
「ほぅ……その目を見る限り、君の心は折れそうにはないようだね」
「当たり前だ。それくらいで折れるようなら私は今こんなところにいない」
「フフフフ……」
「何がおかしい!」
「いや失礼、別におかしくて笑ったのではないよ。今のは嬉しくてね……君のために用意した余興が無駄にならずに済んだ」
スカリエッティは欲望に塗れた笑みを浮かべたかと思うと、エリオ達を映している映像以外にもうひとつモニターを出現させた。そこに映し出されたのは黒衣を纏った剣士と今は亡き空へ還った騎士が争う姿だった。
「なっ――!?」
な……何でショウとアインスが戦ってるの。ショウがあの空域に居るのは分かる。だけど……アインスがあそこに居るはずがない。だってアインスはあの日……私やなのは達の手で空に還したんだから。
けどどう見ても映像に映っているあの姿はあの日見たアインスに他ならない。スカリエッティが作った偽物なのかもしれないが、もしそうならショウがあそこまで
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