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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
赤い閃光
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わたしのせいだね……」

悲痛な表情で、震える声を絞り出した。大きな眼から涙が溢れ、宝石のように美し輝きながら次々に(したた)り落ちた。キリトは、カブトへ言葉を放っていた時からすでに喉乾いていたが、どうにか短い一言を音に変えた。

「アスナ……」

「ごめんね……。わたし……も……もう……キリト君には……あ……会わない……」

ようやく完全に感覚の戻ってきた体を、キリトは必死に起こした。全身の疲労がまだ多少残っているが、右腕と左腕を伸ばしてアスナの体を抱き寄せた。そのまま、桜色の美しい唇を自分の唇で塞ぐ。

「………!」

アスナは全身を硬くし、両手を使ってキリトを押しのけようと抗ったが、あらん限りの力でキリトは細い体を抱き締めた。間違いなくハラスメント防止コードに抵触(ていしょく)する行為だ。今アスナの視界にはコード発動を(うなが)すシステムメッセージが表示されており、彼女がOKボタンに触れれば、キリトは一瞬にして(こく)(てつ)(きゅう)の監獄エリアに転移されるだろう。

しかしキリトは両腕をわずかにも緩めることなく、アスナの唇から頬をなぞり、首筋に顔を(うず)めると、低く呟いた。

「俺の命はキミのものだ、アスナ。だから君のために使う。最後の瞬間まで一緒にいる」

3分間の部立欠損ステータスが課せられたままの左腕でいっそう強く背中を引き寄せると、アスナは震える吐息(といき)を漏らし、(ささや)き返した。

「……わたしも。わたしも、絶対にキミを守る。これから永遠に守り続けるから。だから……」

その先は言葉にならなかった。固く抱き合ったまま、キリトはいつまでもアスナの嗚咽(おえつ)を聞き続けた。

触れ合う全身から伝わる熱が、凍った体の(しん)を、少しずつ、少しずつ溶かしていった。











アスナは55層《グランザム》で待っている間に、ネザーと一緒のベンチでキリトの位置をマップでモニターしていたのだと言った。

ゴドフリーの反応が消失した時点で街を出て走り出したというから、キリト達1時間かけて歩いた距離、約5キロの迷宮区を5分で突破したことになる。敏捷度(びんしょうど)パラメータ補正の限界を超えた信じがたい数字だ。それを指摘すると、アスナは「愛のなせる技だよ」と小さく微笑んだ。

キリトとアスナはギルド本部に戻り、最初に面会した円形の部屋で《ヒースクリフ》に事の顛末(てんまつ)を報告した。

「事情は了解した。団員達には私から説明しておこう」

「よろしくお願いします」

アスナは礼儀正しく頭を下げる。

ヒースクリフは2人の証言の裏付けをした。

「しかし、まさかクラディールが《ラフィン・コフィン》のメンバーだったとは。し
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